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こんなトラブルの時は?

 

オーストラリアの社会福祉制度 (1)

ラトローブ大学ソーシャルワークコース
HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

 皆さん普段生活されていて「社会福祉制度」と言われてもピンと来ない方が多 いの ではないでしょうか。そこで今回は具体的にどのようなサービスが、どこに行けば受 けられるのかを簡単に紹介してみたいと思います。
  オーストラリアには様々な社会福祉サービスを提供している政府機関、非政府機 関 があります。たとえば各種年金・給付金などはDepartment of Social Security (DSS) という連邦政府の官庁が担当していますし、精神的な問題については Community Mental Health Centreという半政府系の機関が設置されています。また家 庭内暴力や性的犯罪の被害者に対する援助の分野ではWomen's Shelterや Centre Against Sexual Assault (CASA)といった団体が活動しています。これらの各種サー ビスの内容や連絡先については「イエロー・ページ」のはじめのところにまとめて 載っていますので、これを見てご自分でそこに電話されるのもひとつの方法です。
 しかし、実際に様々な団体によって数多く提供されているサービスの中から自 分が 直面している問題に最適なものを見つけだすとなると、これはなかなかたいへんな問 題です。そのうえオーストラリアで生まれていない方の場合は、言葉、ビザ・ステー タスなどといったことも考える必要がでてきます。そこで現在ではオーストラリア以 外で生まれ、この国に移住あるいは滞在している人を専門に、社会福祉サービスの提 供を行うMigrant Resource Centre (MRC)という機関が設置されています。
 MRCはオーストラリア全土にあり、メルボルンの場合はすべての地域をカバーする ように複数のMRCが置かれています。ですから、皆さんの住んでいらっしゃる地域の MRCに行けばそこにいるソーシャル・ワーカーが相談にのってくれます。また、問題 によって他の専門機関に行ったほうが効果的な場合は、適切な機関への紹介をしてく れます。
 このMRCのサービスは他の社会福祉団体と同じ様に無料で提供され、もちろん相談 内容は秘匿されますし、ワーカーはソーシャル・ワーク等の学位を持った専門家で す。問題を抱えているがどのように解決すればよいのか判らない、あるいはどこに相 談すればよいのか判らないという場合、まずMRCに連絡してみれば解決に通じる具体 的な助言を得られることは多いと思います。
 実際の相談方法としては、ご自宅の近くにあるMRCに電話をしてソーシャル・ワー カーへ会うための予約を取り直接会いに行くか、あるいは簡単な問題であれば電話で 相談をすることになります。残念ながらいまのところ日本語を話すソーシャル・ワー カーはいませんが、通訳が必要な場合はMRCが無料で通訳の手配をしてくれます。ま たSt. KildaにあるSouth Central Region MRCでは筆者が毎週金曜日にボランティア ・ワーカーとして日本語によるサービスを行っています。South Central Region MRC の連絡先は9525-4622、その他の地域のMRCの連絡先は「イエロー・ペー ジ」を参照してください。

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オーストラリアの社会福祉制度 (2)

ラトローブ大学ソーシャルワークコース
HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

  前回のニュース・レターではオーストラリアでの一般的な社会福祉機関、と くに Migrant Resource Centreについて簡単に紹介しましたが、それでは実際にこれらの 機関はどのようにして利用すればよいのでしょうか?今回はサービスの利用のしか た、とくに最初のコンタクトについて書いてみたいと思います。なお、詳細について はそれぞれの機関によって多少の差異があることはあらかじめお断りしておきます。  言うまでもないことですが、利用の第一歩はサービスを受けたい、あるいはサービ スを提供してくれるのではと思われる機関に電話をかけることからはじまります。最 初に電話をかけてみて、そこで実際に自分が出向いて行く必要があるのかどうかを確 認するわけです。用件が電話のみで終わればそれはそれで時間の節約になりますし、 もし事務所に来て欲しいということであればここで改めて予約を取ることになりま す。また、仮にそこが自分の必要としているサービスを提供していない場合でも、電 話の相手が心当たりの他のサービスを紹介してくれる可能性もありますから、話は大 いに活用されることをお薦めします。
 ところで、電話をすると多くの場合受付がまず電話に出ます。「そこで誰を呼び出 すべきなのか?」個人的な話になりますが、ぼくは昔よくこれで失敗しました。自分 の話したいことを受付の人に話しだしてしまい、担当者に繋いでもらうまでにやたら と時間がかかり、さらに担当者が電話に出るとその人にまた同じ話を最初から繰り返 したりしたのです。これはその事務所に何を担当する誰がいるのか全然見当がつか ず、具体的な担当部署もそこにいるワーカーの名前も告げることができなかったから なのですが、こういう場合は「duty worker」あるいは「social worker」と話たいと いえば、まず大丈夫です。多くの事務所では当番制で電話に応対をするワーカーを決 めています。
  さて、電話に担当ワーカーがでました。ここから本来のサービスがはじまるわけ で すが、ここでポイントをひとつ。電話をかける前に相談したい内容を何かに書き留め ておき、そのメモをもとに話をすれば事実関係の確認がしやすくなります。いつ、ど こで、何が、どのように起こったのか?電話ではほとんどの場合、ワーカーはあなた から説明される話のみをもとにして対応するわけですから、これらの基本的な事実を はっきりと間違いなく伝えることは不可欠なこととなります。これは判りきったこと のようですが、実際にクライアントからの電話を受けているとその辺りがはっきりし ないために話が前に進まないということがままありますので、ここにあえて記してお きます。
 あなたが電話あるいは面接して話した内容はワーカーのファイルに記録され、以後 のあなたの面接相談のために利用されますが、この情報は倫理的、法律的に求められ る場合を除いて第三者に明かされることはありません。あなたがワーカーに伝えた情 報は相談のためだけに限定して利用されます。オーストラリアではソーシャル・ワー カーに対しても「職務上知り得た情報の秘守義務」はたいへん厳しく求められてお り、その厳しさは弁護士、医療関係者などへのそれとなんら変るところはありませ ん。もし、仮にあなたの情報が正当な根拠もなく第三者に漏れた場合は、ソーシャル ・ワーカーの団体であるAustralian Association of Social Workers (AASW)に審判 を申し立てることが出来ますし、またその他の法的手段に訴えることも可能です。

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オーストラリアの社会福祉制度 (3)

ラトローブ大学ソーシャルワークコース
HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

   現在日本では高齢化社会とそれに関連するさまざまな問題が取り沙汰さ れ、この話 題がメディアを賑わせています。ここオーストラリアでも高齢化社会の問題、とくに 今後の老人福祉の在り方については大きな関心をよんでいます。つい先日も老人ホー ム入居者に対する保証金制度の導入の話題が新聞に大きく取り上げられたことをご記 憶の方も多いのではないでしょうか?そこで本稿では今回と次回の二回にわたって老 人福祉制度について書いてみたいと思います。
 オーストラリアの老人福祉制度を考える場合、日本との大きな違いはその介護のや り方と施設にあらわれています。日本ではある程度年を取って身体に障害が出てきた り、ひとりの生活が難しくなってきたりすると老人ホームに入るという選択が割と一 般的です。家族がその老人の介護をする場合ももちろんありますが、老人ホームへ入 居することも同じ様によくあるわけです。一方、ここでは出来るだけ老人を地域社会 の中で介護しようという動きがあり、このため老人ホーム(nursing home)に暮らす老 人の数は日本に比べるとかなり少ないといえます。オーストラリアでは老人とは65 歳以上の人を指しますが、ビクトリア州の全老人人口のうち老人ホームで介護を受け ているのは約1%だといわれています。これは日本で老人ホームに入っている人の率 に比べるとかなり低いといえます。というのは、こちらで老人ホームでの介護を受け られるのは、老人性痴呆、脳梗塞、心臓発作などによって心身に重度の障害を持ち、 食事、身の回りの世話など全てにわたって介護が必要なひとに限られているからで す。つまり残る99%の老人は仮に障害があっても老人ホームには入らず、何・u桙 轤ゥのかたちで介護を受けつつ地域社会の中で暮らしていることになります。
 それでは老人ホーム以外での介護にはどのようなものがあるのでしょうか?まず自 宅で暮らす老人には食事の宅配サービス(Meals on Wheels)があります。これは地方 自治体によってサービスされており、食事を自宅まで配達してくれます。またこれと 似たものに、自宅へのケア・ワーカー(日本でいうヘルパー)の派遣があります。派 遣されたケア・ワーカーがその老人の障害の度合に応じて、買い物、掃除、入浴の介 助といった身の回りの世話をするものです。これら自宅に住む老人へのサービスは日 本でいう在宅介護の支援サービスに似ているといえますが、大きな違いはこちらでは そのサービスを受ける老人の多くが独居であるか、あるいは配偶者との二人暮らしで あるという点です。これは家族観の違いとしてたいへんよく知られていることです が、日本に比べるとオーストラリアでは結婚後の両親との同居があまり一般的ではな く、このため介護の内容も老人を介護する家族を支援するものよりも、独居の老人自 身を対象としたものが多いようです。
 そして、これら自宅に住む老人への介護サービスとは別に、ケア付き住宅がありま す。これはいわば自宅で生活するのと老人ホームに入るというふたつの選択肢の中間 に位置するもので、老人向けに作られた施設に入居しながらも個人の独立した生活を できるだけ保つことを目指して設置されています。施設によって違いはありますが、 そこでは各人が個室を持ち、介助が必要なことについてはそこにいるケア・ワーカー がそれを行うという形が一般的です。どの程度の介助を受けるかはそのひと個人の必 要性によって変ってくることになります。そして、その介護の多様性に応じて施設に も様々なものがあります。
 それではこれらの施設に入りたい、あるいはサービスを受けたいという場合にはど のようにすればよいのでしょうか?次回はサービス利用の実際とその費用負担につい て書いてみたいと思います。

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オーストラリアの社会福祉制度 (4)

ラトローブ大学ソーシャルワークコース
HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

 老人福祉の第2回目は、実際に施設に入りたい、あるいはサービスを受けたいという場合のサービス利用について書いてみたいと思います。

 まず地域のコミュニティーのなかで、今現在の家に住み続けながら各種のサービスを受けるときですが、これはお住まいになっている地域のシティ・カウンシルに問い合わせの電話を掛ければ詳しいサービスの内容、その利用の仕方を教えて貰うことができます。ホワイト・ページに載っている各カウンシルのメイン・スイッチボードに電話して、”Community Careについて聞きたい”と言えば担当の部署に繋いでくれます。またカウンシルが発行している情報誌にも問い合わせの電話番号は掲載されているはずです。シティ・カウンシルによって提供されているサービスには、食事の宅配(Meals on wheels)、掃除・買い物といった家事の補助、コミュニティー・バスなどがあり、具体的なサービス内容はカウンシルごとに異なっています。

 またケア付き住宅であるホステル、老人ホーム(Nursing Home)を利用したい場合は地域毎に設置されているAged Care Assessment Team(ACAT)に連絡することになります。ACATはケアが必要だと思われる人のケアの必要性や障害の度合などを査定する機関で、ソーシャル・ワーカーがケアを希望する本人及びその家族の状況などを調査して、そのひとに一番適当だと考えられるケアの種類を決定します。これらACATの連絡先については各シティ・カウンシルに問い合わせることも出来ますし、Commonwealth Department of Health and Family Services が設置している”Aged Care Hotline”(電話番号 1800500853)に電話して情報を得ることもできます。もし老人福祉とそれに伴う費用負担の問題を特にお知りになりたい場合は、同じデパートメントが開設している”Goverment's Free Financial Information service”(電話番号 131021)にお電話下さい。

  この記事の内容についてお問い合わせがある場合はFAXあるいは郵便にて、ホープコネクションまでご連絡ください。

*前回の記事の中で老人ホームでケアを受ける人の率は全65歳以上人口のうち1%であると書きましたが、 最新の政府発表によればこれは全70歳以上人口のうちの7.5%の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

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オーストラリアの社会福祉制度 (5)

HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

  ホープ・コネクションが行っている電話相談にかかってくる相談の内容を見て いる と、借家に関連した相談が案外多いようです。また、私個人のまわりでも家やフラッ トの賃貸借をめぐるトラブルの話はよく耳にします。そこで今回は「家屋の賃貸借を めぐるトラブルへの対処法」について書いてみます。
ひとくちに賃貸借契約をめぐるトラブルと言ってもさまざまな問題が考えられま す。たとえば「破損した施設を家主が修繕しない」「自分のミスではなく家屋の施設 の一部が破損したのに修理代金を請求された」「家屋に損傷があった訳でもないのに 保証金(ボンド)が戻ってこない」「過去半年のあいだに2回以上家賃の値上げが あった」などなどがよくあるケースですが、まずいずれの場合にも不動産屋あるいは 家主と直接話をしてみることをおすすめします。これは言うまでもないことのような 気もしますが、こうしたトラブルの場合に当事者と直接話をしないで第三者に相談さ れる方が意外に多いのでここに改めて書いておきます。
さて、相手方と話してみたけれども埒があかない、あるいは相手方と話をする前に 自分の権利を知っておきたいといった場合にはどうすればよいのでしょうか?メルボ ルンには家屋の賃貸借契約をめぐるトラブル専門に相談業務を行っている組織があり ます。一般的に"Tenants Union" (テナント・ユニオン)と呼ばれるものがそれで、 地域毎に事務所が設置されています。このユニオンは正式には"Metropolitan Tenants Advice Services"と呼ばれ、州政府が運営資金を提供して借家人に対する各 種アドバイスの提供を行っており、ここで働くワーカー達は賃貸借契約に関する専門 知識を持っています。事務所は各地にあるため、すべての連絡先をここに挙げること はできませんが、1ヶ所代表的なユニオンの電話番号を書いておきます。
Tenants Union of Victoria  Phone: (03) 9416 2577

なお、こういったユニオンに相談される場合には、賃貸契約とその推移を証明する すべての文書(賃貸契約書、過去の請求書・領収書、家主あるいは不動産屋からの手 紙、ご自分が出された手紙など)を用意されてから連絡されると相談がスムーズに進 みます。また、これに関連してですが、家の賃貸借に伴う書類はたとえそれがどんな に細かいものであったとしても、その契約が終了するまでは保管されることをおすす めしま す。そして相手方から何等かの同意を得た場合、金銭のやり取りがあった場合などは すべて文章化されるのが安全です。

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日本の社会福祉制度 (1)

HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

  前回までこの欄でオーストラリアの社会福祉制度について書いてきました が、今回 から「日本の社会福祉制度」と題して日本における福祉制度の現状を紹介していきま す。第一回目は昨年できた介護保険制度についての解説です。
 1997年12月に臨時国会で介護保険法案が成立しました。「介護保険」につい ては日本ではここ数年メディアでも頻繁に取り上げられており、みなさんその名前と 大まかな内容はご存じではないでしょうか。
 介護保険は40歳以上の方を被保険者としており、毎月一定額の保険料を支払うこ とにより、被保険者が「加齢に伴い」介護が必要となった時に介護サービスの提供を 受けることが出来るというものです。ここで主なポイントとなるのは以下の二点だと 考えられます。まず第一は、保険給付の対象となるのは加齢、つまり年をとったこと により生じた「要介護状態」であり、それ以外の障害・疾病の介護については対象外 であること。そして第二は保険の給付は在宅および施設でのサービスの提供というか たちで行われ、現金が支払われるわけではないということです。
 ここでいう「要介護状態」とは「入浴、排泄、食事などの日常生活動作について介 護を必要とする状態」であると定義され、その度合によって6段階に分類されます。 この要介護状態の認定は、各市町村によって行われ、被保険者が必要とする介護の度 合に応じて、在宅または施設での介護サービスに対する保険の支給額が決定されると されています。
 具体的なサービス内容としては、在宅の場合は介護・家事の援助をするホーム・ヘ ルパーの派遣、訪問入浴、訪問介護、訪問あるいは通所によるリハビリ、かかりつけ 医による医学的管理、老人介護施設でのデイ・サービス(昼間のあいだ施設に通って 介護を受けたり・レクリエーションなどに参加すること)、介護施設への短期の入所 などが挙げられます。また施設の場合は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養 型医療施設といった施設への入所となっています。
 気になる保険料ですが、所得額に応じて五段階に分かれるとされており、先日厚生 省が発表した試算によると、制度の開始時には40歳以上のサラリーマンの夫婦で月 額で1700円程度、65歳以上の夫婦で月額5000円程度の負担になるとされて います。(これは制度の開始時における保険料であって、運用開始後には保険料は 徐々に引き上げられていきます。)なお、40歳から64歳までの方の場合、保険料 は医療保険料と併せて支払うことになり、65歳以上の方の場合は原則として年金・ 保険からの天引きとなります。64歳以下の方は保険料自体が若干安く設定されてい るのと、加入されている健康保険の種類によって事業者あるいは国庫が保険料の半分 を負担するため、65歳以上の方に比べると保険料の負担は低くなっています。そし て介護サー ビスを受ける際には、利用者負担としてサービス提供にかかる費用の一割を支払うこ とになります。
 政府はこの介護保険制度を2000年4月からスタートさせると発表しています。 それでは、実際にこの制度が始まった場合にはどのようにすれば介護サービスを利用 出来るのでしょうか?そして、海外に住んでいらっしゃる方が日本に帰国された場合 にはこの保険をどのようなかたちで利用できるのでしょうか?次回はこれらの点につ いて書いてみたいと思います。
 なお、介護保険制度は現在具体的なシステムの検討段階にあり、ここに書いた内容 はあくまでもこの原稿執筆時での情報をもとにしていることを書き添えておきます。

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日本の社会福祉制度 介護保険(2)

HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

 今回は介護保険制度についての2回目です。前回書いた保険制度の大まかな枠 組みをもとに、実際に保険を利用するにはどうしたらよいのか、また保険給付の過程 などについて述べていきます。
 介護保険制度が実施されると、被保険者の居住する各市町村が「加齢に伴い」介護 が必要となったと認定したときに、在宅または施設での介護サービスが受けられるよ うになります。
 この介護が必要な状態についてより詳しく書くと、「要支援状態」と呼ばれる「虚 弱な状態であって、要介護状態とならないために適切な介護サービスを受けることが 必要な状態」と、要介護状態の2つに分類されます。そして要介護状態は介護を必要 とする度合に応じてさらに5段階に分かれています。つまり要支援・要介護を合わせ ると、何らかのかたちで介護サービスの給付を受ける状態は6つに分けられることに なります。
 各被保険者が要支援あるいは要介護状態にあると思われるときは、まず居住してい る市町村に「認定申請」を行います。申請があると「介護認定調査員」による面接が 各被保険者に対して行われ、この面接の記録に「かかりつけ医の意見書」、「調査員 が記す特記事項」などを添えたものが各市町村の「介護認定審査会」に送られます。 「ケア・サービス調査票」と呼ばれるこの面接記録には、現在のところマーク・シー ト形式が採用されることになっており、したがって認定審査会は第一次審査をコン ピューターによって行うことになりそうです。認定審査会は全国共通の認定基準に基 づいて、それぞれのケースについて要介護状態にあるかどうか、もしあるのならばそ れが前述の6段階のうちのどれにあたるのかを判定します。ここで要介護状態にある と判定されれば、それぞれの段階に応じて各種介護サービスの給付が始まり、要介護 状態にはないとされた時は給付は受けられません。なお、認定審査会の判定結果に不 服があるときには、各都道府県が設置する「介護保険審査会」に不服申立ができま す。
 厚生省の試算によれば、65歳以上の被保険者のうち約13%、80~84歳のう ち約25%、そして85歳以上のうちの約50%が何らかの介護サービス給付をうけ るとされています。
 それでは要介護状態にあると認定された後、具体的にどのようなサービスをどのく らいの頻度で利用できるようになるのでしょうか?前回のこの欄で予想されるサービ スの項目を羅列してみましたが、これらが現実にどうようなサービス内容になるのか は明らかになっていません。介護保険制度のなかでもこの実際のサービス給付の段階 については未だに不明確な点が多くあり、筆者が調べた限りでは現在のところ提供さ れる介護サービスの具体像とその組み合わせは明らかになっていないようです。
 ただ、現在「介護支援専門員」と呼ばれる新しい国家資格ができており、この資格 をもつ人が要介護認定を受けた人に対して具体的なサービス計画(ケア・プラン)を 作り、このプランがきちんと実施されていくよう管理(ケア・マネージメント)を行 うとされています。専門員は・。年の9月から全国各地で資格試験が始まっており、 ケア・マネージメントのほかにも介護認定申請の代行や申請後の認定のための面接も 行えることになっていることから、2000年の制度運用開始のときには約4000 0人が必要になると見込まれています。
 次回は海外に住んでいらっしゃる方が日本に帰国した場合の保険申請について書い てみたいと思います。
 なお、介護保険制度は現在具体的なシステムの検討段階にあり、ここに書いた内容 はあくまでもこの原稿執筆時での情報をもとにしていることを書き添えておきます。

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「日本の社会福祉制度」介護保険(最終回)

 連載を一回休みましたが、今回は介護保険についての最終回です。来年4月に運用開始が予定されている介護保険について、とくに海外に暮らす方々への影響について述べてみます。なお、今回の記事の内容は筆者が住む市の老人福祉課に問い合わせた結果に基づいています。前回のこの項で述べたとおり、介護保険を実際に実施、運用する保険者となるのは各市区町村あるいはそれらが合同して運営する事業体です。この記事に書かれた海外居住者への取り扱いはすべての保険者が共通して適用する原則ですが、個別のケースについては住民登録をしているそれぞれの市区町村にお問い合わせください。

 介護保険制度が実施されると、被保険者の居住する各市区町村が「加齢に伴い」介護が必要となったと被保険者を認定(要介護認定)したときに、在宅または施設での介護サービスが受けられるようになります。そしてこれは「保険制度」ですから、要介護認定を受けて介護サービスを受けるためには当然保険料をあらかじめ支払っておく必要があるわけです。前々回の連載のなかでも述べましたが、保険料は65歳以上の方の場合、2000年度で全国平均月額2500円程度と見込まれています。40歳以上65歳以下の方の場合は、医療保険に加入している人が対象となり、保険料は加入している医療保険の算定方法に基づいて設定され、医療保険料と一括して支払うことになります。しかしこれはあくまでも平均であり、実際の保険料は居住する市区町村によって違いますし、被保険者の年齢によっても上下することになります。また、最近の新聞報道によれば保険料はこの予想額よりも高くなるという予測もされています。

 海外に居住されている方の場合はどうなるのでしょう?まず保険料の支払いについてですが、結論からいうとあなたが日本国内に住民登録をしていて、なおかつ日本の医療保険制度に加入している40歳以上のかたであ

る場合のみ保険料を支払うことになります。つまり、現在日本国内のどこかに住民票があり、日本の企業で働いていて日本の健康保険によってカバーされているか、あるいは日本で国民健康保険制度に加入している方は保険料を支払う必要があるわけです。配偶者の方も同様です。そのほかの方の場合は介護保険料の請求のみがされることはありません。例えば日本企業で働いていて、日本の医療保険に加入されている方は、今までの医療保険料に加えて介護保険料が請求され、毎月の給与から天引きされます。しかし、こういった医療保険に加入されておらず、日本で住民登録をされていなければ、介護保険料は支払わないということになります。ただし、日本で老齢・退職年金を受けている方で、日本で住民登録をしていて、なおかつ日本の医療保険制度に加入している場合はこれらの年金から介護保険料が天引きされます。

 次に介護サービス給付開始の認定についてですが、各被保険者が要支援あるいは要介護状態にあると思われるときは、まず居住している市区町村(保険者)に「認定申請」を行います。そして被保険者が要介護状態にあるのかどうかを保険者が審査し、その審査をパスすれば、つまり「要介護認定」を受ければ介護サービスの給付が開始されます。要介護認定の申請受け付けは今年の10月から住民登録されている市区町村の担当部署で始まり、介護サービス提供と保険料の支払いは2000年の4月から始まる予定です。現在海外にいらっしゃる方の場合、要介護認定を申請するには、審査を受けるために日本に帰国する必要があります。審査は保険者が派遣する調査員からの面接を受けなければならないからです。また、認定を受けた後の実際の給付も、指定事業者からの介護サービスという「現物」の形で行われ、現金給付はありませんので、この介護保険によるサービスを受けるためには物理的に日本に居住しているしかないわけです。

 では、いま現在オーストラリアに住んでいらっしゃる方が日本に帰国され、いずれかの市区町村に要介護認定の申請をしたらどうでしょう?こうした場合、その方が申請を出す市区町村に住民登録をし、介護保険に加入すれば、それ以外の申請と同様に審査されます。そして、これは申請が帰国の直後であったり、それまでオーストラリアに居住しているあいだ保険料を支払っていなかったとしても同じです。筆者が話した市の担当者によれば、こうしたケースは現在実施されている国民健康保険制度に準じて取り扱うことになるといいます。つまり、保険料支払いの期間の長短にかかわらず、介護保険に加入している限り、要介護認定を受ければサービス給付を受けることができるというわけです。この原則は申請を出す市区町村に関係なく、一律に適用されます。

 なお、介護保険制度は現在具体的なシステムの検討段階にあり、ここに書いた内容はあくまでもこの原稿執筆時での情報をもとにしていることを書き添えておきす。

Hope Connection 顧問ソーシャルワーカー 水藤昌彦)

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日本の社会福祉制度 社会福祉構造改革 「措置から利用へ」 (前編)

 今年(1999年)の4月15日に厚生省は「社会福祉事業法等一部改正法案大綱」(あまりに長いので以下、改正法案とします。)という文書を発表しました。なんだかやたらに漢字ばかりが並んだこの文書の内容は、第二次大戦後から今までのあいだ大きな変化に乏しかった日本の社会福祉政策の構造を根底から転換させようとするものです。これまで本稿では主に日本の福祉制度の内容について解説してきましたが、今号と次号の二回に渡っては、これら制度の拠り所となる福祉政策の大転換について書いてみることにします。

 第二次大戦後から現在にいたるまで、日本の社会福祉政策の基本的考え方は「失業している、年をとった、障害を負ったなどの理由で困窮した状態にある人を救済する」という考えを基本にしています。「何らかの理由で困っている」と認められる状態にある人に限って必要な金、もの、介護力などの「援助」を与えるという考え方です。このため従来日本では福祉制度を利用する場合「措置する」という言い方をしてきました。これは困っている状態にあると認められた人に、その困った状態から脱却せさせるために必要な援助を与えるよう「措置」するからこう呼ぶわけです。

 では、あるひとが困っている状態にあるのかどうかを決める、つまり「措置をする」のはどこかといえば、これは地方自治体をはじめとする行政機関、いわゆる「行政」です。「行政」が「困っているな」と認めた人に限って必要とされる福祉制度を利用できるようにしたり、必要な金やものの援助が与えられるように「措置する」というこのやりかたを「措置制度」といいます。

 「措置制度」では「誰が」「どういった内容の援助を」「いつ」「どこで」「どれだけ」受けるのかということは、すべて行政によって決定されます。もちろんどのよう援助がどれだけ必要なのかを当事者が行政に訴える(申請する)ことはできますが、その援助を実際に受けることができるかどうかを決定するのは行政です。援助を必要とする側とそれを提供する側が直接交渉を行ない、その援助を受けることが可能かどうか、また受けるとしたら何をどれだけの頻度で受けるのかを話し合うなどということは「措置制度」のもとでは想定されていません。もしもそういった直接交渉を行い、欲しい援助(この場合は福祉サービスと呼べるかもしれません)を自分で選びたい場合には、措置制度の外で個人的にその福祉サービスを自費で「買う」こととされてきました。そして、これは皆さんが髪を切りたいときに美容師さんのもとに行くのと同じように、欲しいサービスを得るために個人が独自に判断してやっていることであって、国としての福祉制度の中ではあくまで「付けたし」のようなものと見られてきたのです。そのために費用も全額個人負担となってきました。

 つまり個人が必要としている援助はあくまで行政から措置された結果として提供されるのが日本の福祉制度の基本であって、現在オーストラリアで一般化しているような「必要なサービスを利用者が選択して受け取るという」考え方とは大きく異なるものでした。ところがここにきてこの制度を根本から変えようとする動きが出てきています。個人にとってどんな「援助」が必要なのかを行政が判断してきた今までのような「措置制度」から自分にとってどんな「福祉サービス」が必要なのかを自らが決定して利用する「利用制度」への構造改革です。これが今回いちばん最初に書いた「改正法案」の基本となる考え方です。

 前回までのこの項でとりあげてきた「介護保険制度」は、この「利用制度」を老人福祉の分野に導入したもので、構造改革の考え方が実際の福祉制度に反映される最初のものとなります。介護保険制度のもとで、あるレベルの介護が必要だという認定を受けた人は、実際の介護サービスを指定業者の中から選んで受けることになります。この制度でも誰が、どれだけのサービスを受けられるのかは保険者である地方自治体が最終的には決定しますが、これまでの措置制度とは違って「どの施設から」サービスを受けるのかということが選択できるようになります。今までは措置される対象であった利用者が、主体的にサービス利用を選択する消費者へと変化するわけです。利用者は実際に自分でお金を払って欲しいサービスを買う代わりに、自分が加入している保険制度を使ってそれを買うというかたちになります。そしてこの介護保険方式を使った「利用制度」は、ごく近いうちに障害者福祉の分野にも導入されるといわれていて、現場では具体的な導入年度についてもとりざたされています。

 この構造改革は利用者だけでなく、いままで措置制度のもとで発達してきた日本の社会福祉施設にも大きな影響を与えています。なにしろそれまで措置されてくる「利用者」だった対象者が、自己決定権をもった「お客様」になるのですから、天と地がひっくり返ったような大変化なのです。そして、これは同時に経営的な転換も意味しています。これまで生産性も効率も関係なく、毎年決まった額の「措置費」とよばれる予算を消化していれば安泰だったものから、「お客様」のニーズに即したサービスを提供し、売り上げを伸ばして損益の分岐点を超えないことには倒産もありえるという競争状態への移行です。社会福祉構造改革とは、日本の社会福祉史上初めての「市場原理」の導入なのです。

 次回はこの構造改革によって起こっている具体的変化について書いてみます。

(ソーシャルワーカー 水藤 昌彦)

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オーストラリアの高齢者ケア制度の現状

 当記事は、Ballarat Health Services, Queen Elizabeth Centre のプログラム マ ネージャーの洋子マーフィーさんからご寄稿いただきました。

 オーストラリアは若い国で、高齢化率は現在12%で、2025年までには16% に上昇すると言われている。日本と比較するとその上昇率は緩慢で、現在日本の高齢 化率が16%、2025年までには30%に達すると予測されている。
 オーストラリアの医療保険制度は所得の1.5%を自動的に天引きするメディケア と呼ばれる国民皆保険制度をとっている。この保険制度は公立病院で治療費をすべて カバーし、一切の個人負担はない。私立病院で診療を受けたい場合は民間保険に加入 する。しかし保険加入者でも、治療費の全額はカバーされないので、民間保険加入率 が毎年減少し、公立病院の需要が高まり、手術待機者が増加する等、連邦政府はその 対策に苦慮している。
 オーストラリアでは、多世代家族が同居して暮らす習慣がなく、独居高齢者が多 い。65-79歳人口の3割近く、80歳以上では半数近い高齢者が一人暮らしであ る。そのためにすべての面で自立性が重要視されている。高齢者のうち、約7%が長 期老人施設に入所し、約15%が何らかの在宅サポートサービスを受けて自宅で暮ら している。在宅サービスの利用者の半数以上は独居高齢者で、うち7割が女性、80 歳以上の女性だけで全体の3割を占めている。サービスの種類は給食、ホームヘル プ、訪問看護、ホスピス看護、家屋修理、ショートステイ等で、年金者は安価でこれ らのサービスを受けることが出来る。その他複雑な問題を抱えている場合は、ケース マネージメントを適用したきめ細かい在宅ケアパッケージがある。
 長期施設ケアの場合、高齢者ケアアセスメントチーム(Aged Care Assessment Service - ACAS)が入所に関するアセスメントをし、適応性を判定する。ACAS のア セスメントは自宅または病院や老人施設等で行われる。老人施設には3種類あり、公 立(入所時にACAS の判定が必要)、私立(ACAS の判定が必要)、特別私立 (Exempt Nursing Homes - ACASの判定は不要)で、特別私立以外は入所費は同じよ うに計算される。長期老人施設としてナーシングホーム(重要介護 - High Dependency Level)とホステル(低要介護 - Low Dependency Level)があり、要介 護を8段階に分け、統一したアセスメント方式が使用され、入所後約3週間かけて看 護職員が看護ケアアセスメントをする。その結果、入所者がクラス分けされ、ケアプ ランが作成され、政府からの援助資金が決められる。
 オーストラリア政府は70歳以上の人口1000人に対し、100床の割合で、長 期高齢者ケア施設の整備計画を進めている、施設別ではナーシングホームが40床、 ホステルが50床、在宅ケアが10人の割合である。
 オーストラリアの高齢者ケア制度は全てがアセスメントを土台とし、それによって 各個人のニーズを明確化し、ニーズに応じたサービスを必要なときに必要なだけ提供 することで、利用者の財政状態にあった個人負担が課される。そのアセスメントも全 ての専門家がその分野のアセスメントをし、お互いの連携を保ちながら情報の交換が スムーズにいくように努力している。高齢化に伴う医療費の上昇に対処するために、 政府は経費の効率化を提唱し、予算の削減を実施しているので、それに伴う不平不満 が職員から出ている。一般的にオーストラリア人は意見をよく言い、討論や抗議をよ くするので、次期選挙に影響があるようにプレッシャーをかけて政府を見張る国民で あるから、ヘルスケアの分野は政府にとって常に頭痛の種である。

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日本の社会福祉制度 社会福祉構造改革「措置から利用へ」(後編)

前回(12号)のこの欄では社会福祉構造改革の基本的な考え方について書きましたが、今回はそれを受ける形でとくに老人介護の分野を例にとって、この改革によって何が起こっているのか、また何が起こると予想されるのかについて書いてみます。

 

 まず第一にはサービスという考え方の福祉分野への導入です。長年にわたって日本の福祉の現場では、一部の献身的なひとたちが集まって「面倒をみてあげる」といったような雰囲気の中で利用者へのケアが行われていました。いまから15年ほど前、私が高校生の頃にボランティアでちょっとのぞいたことのある老人ホームなどでも入居者に「料金と引き替えにサービス」を提供しているというような意識はなかったようですし、職員の発言を聞いていても老人を「お世話する」といったような意識が強かったように思います。こういった考え方はいまでも根強く残っていて、「福祉というのは奉仕の精神が大切だから」といったような発言をする社会福祉法人の関係者は大勢います。こういった日本の福祉の現場に従来から根強く存在する「老人をお世話する」という考え方、価値観の世界のなかに、「利用料金に見合ったサービスとしての介護」というまったく新しい考え方が構造改革によってもたらされたのです。

 余談になりますが「お世話する」と「サービスを提供する」、これら二つの言葉は似ているように聞こえるのですが、現場の職員のなかでは二つの表現が持つ語感は大きく異なるようです。お世話する、面倒を見るというのは、いわゆるウェットな感じ、言い換えれば情に訴えるような部分があるのですが、それが「サービス提供」になるとなんだかビジネスライクで冷たい感じがするという職員は多くいます。そう主張する職員の多くは自分たち生身の人間をケアしているのであって、物を作っているわけではないとも言います。

 

 第二には提供されるケアの質を問うという考え方がでてきたことです。ケアをお金で「買う」からにはその品質はきちんとしたものでないと困るというわけです。いままでの福祉の現場ではサービス内容の評価を公正に行うといった考え方はあまり一般的ではありませんでした。利用者も「お世話になっている」といったような、どちらかといえば受身な考え方をしたかたが多かったですし、ケアをする側も自分たちがお金の見返りにその介護をしているという意識は希薄だったのですから、そこで行われている仕事の質について問題にされることはあまりなかったのです。このため一部の老人ホームなどでは虐待がありましたし、そういった被害にあった人たちが相談する窓口も限られていたのです。構造改革では苦情処理のための第三者機関を設置することが義務付けられていますので、サービスの質の保証という面では一歩前進したのではないでしょうか。もちろん実効性についてはこれから注意深く見守っていく必要がありますが。

 

 第三には他業種からの福祉分野への参入とそれによる競争状態の発生があります。いままで福祉といえば地方自治体のような公的な機関か社会福祉法人と呼ばれる非営利の団体がその企画や運営を行ってきました。そこでは法人間の競争などというものは存在せず、

効率のよくない施設運営もあちこちで行われてきたのです。よくいわれることですが、従来の福祉業界には市場原理や競争原理という考え方は存在していませんでした。競争的な考え方は福祉というものにはなじまないとされ、このため民間企業の福祉分野での活動も制限されてきたのです。それが介護保険制度の導入を機に民間企業の参入が可能になったことで、一気に競争が始まりました。介護保険制度のもとではどの業者から介護サービスを買ってもよいわけですから、みな顧客の獲得競争に必死になるわけです。そして競争が始まればおのずと第二点で挙げられたサービスの質も向上していくと厚生省では見込んでいるようです。現場で見ていると確かにそういった利点もあるのですが、同時にこれは問題点もかかえています。一例をあげれば、過当な競争によってケアの質よりも経営の手腕が優れた事業者ばかりが生き残るのではないか、あるいは経営効率よりも質の高いケアを維持することを優先する施設の経営状況が悪化していき、結局利益率だけを追求する事業者が生き残っていくのではないかといったことです。ただし、介護保険導入と同時に新規に参入した某大手事業者のように、全国に介護ステーションを展開して大規模な宣伝活動を行っても、それぞれの地域にきちんと浸透できていなかったために実際の利用者獲得には結びつかなかった例もありますので、これら新規参入の事業者がどこまで伸びていくのかについては未知だと思います。実際には経営効率とケアの質の維持のふたつをどう折り合いをつけていくのか、そのバランスを見極めていく試行錯誤がこれから続いていくのではないでしょうか。

(ソーシャルワーカー 水藤 昌彦)

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カルチャーショックってなあに? (1)

精神科医・ホープコネクション顧問  南川 節子

  オーストラリアに来てどのくらいですか?住みごごちはいかがですか?カル チャー ショックを感じていませんか?
「今日ね、シティに出かけたんですけど、街の真ん中を裸足で歩いている人を見たん です。最初は変な人がいるもんだと思ったんですけど、ひとりじゃないんです。あち こちにいて、びっくりするやら、あきれるやら。」
「緊急の用件で取引先に電話したところ、担当の人が休暇を取っているからその件に 関して今はわからないというんです。代理に人を出してくれといっても、彼が来週 帰ってくるからその時に電話してくれというばかり。日本じゃ考えられないことです よね。どうなってんだかこの国は。」
 生まれ育った国を離れて異国の地で生活を始めると、様々な”違い”に出会うこと になります。言葉はもちろんのこと、気候の違い、生活習慣の違い、人付き合いの在 り方の違い、社会制度の違い、などなど数え上げればきりがありません。理屈では違 いがあることは当たり前だと思っていても、日本では常識であったことが通用しない となると、気持ちが動揺し、途方にくれてしまうものです。移り住んだ土地の生活に なれて、とまどったり驚いたり途方にくれたりする事が少なくなってくるまでのしば らくの間は、誰でも心身ともに不安定になるものです。この時期現れてくる精神的あ るいは身体的な症状を総称してカルチャーショックといいます。
 では具体的にどんな症状が出るのでしょうか。

◆自分にとってなじみが無く新しい物事に出会ったときのとまどいと緊張感や、どう したらいいかわからない不安をしばしば感じる。
◆日本でなら簡単にできていたことが簡単でなくなってしまうために、自分がつまら ない、能力のない者であるかのように感じて、不能感、劣等感や無力感を感じる。
◆いらいら、焦り
◆コミュニケーションがうまくいかないために孤立しやすく、周囲から拒絶されてい るように感じる。
◆孤独感、ホームシック
◆眠れない、眠りが浅い。
◆食欲がない。
◆下痢や便秘
◆持病の悪化
  普通、こういった症状は一過性のもので、新しい生活に慣れるにしたがって、数 週 間から数カ月で消えていきます。カルチャーショックは、生まれ育った文化から他の 文化に移り住んだ人誰にでも起こりうる一時的な反応なのです。カルチャーショック をうまく乗り切る方法については、次回に譲りたいと思いますが、今この問題で困っ ておられる方に一言。慣れるまでの辛抱です。でももし、何カ月も同じような状態で 悩んでいるとか、自分だけの力ではどうしようもないと感じるとかいったことがあれ ば、専門家の援助を求められることをお勧めします。ホープコネクションの電話相談 もご利用下さい。

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海外赴任者の不安神経症とメンタルケア

<編集部注>
この欄は「海外医療」九月号特集記事「海外赴任と成人病」の中の「ノイローゼ(神 経症)とうつ病」(津久井要医師)の一部を、発行元の許可の元に抜粋、編集しまし た。
<不安神経症とは?>
 不安神経症は最もしばしば見られる神経症で、成人人口の2~3%の頻度ともいわ れています。これには、不安発作と全般性不安状態があります。
 不安発作とは、理由もなく突然不安におそわれるもので、その際には身体症状が伴 います。身体症状としては、呼吸困難・動機・胸部圧迫感・窒息感・めまい感・手足 のしびれ感・発汗・気が遠くなる感じ、などがみられます。
 全般性不安状態では、不安発作がおさまった後でも慢性不安状態の形で不安は存続 します。このため、「また不安発作がくるのではないか!?」という予期不安を伴う ことが少なくありません。このため、一人で外出したりすることに制限が加わってし まう場合もみられます。
 不安神経症では、薬物治療が著効を呈することが多いので、担当医の指示に従い しっかりと服薬することが重要です。また状態が良くなり服薬をやめる際も、一度に 全部やめてしまうと、再び発作におそわれることがあるため、徐々に一週間ごとの ペースで漸減してゆくことが必要です。また、不安発作が生じやすい条件としては、 その頭文字を取って「HALTの状況」になっていないかどうか、自ら検討することも大 切です。HALTとは、Hungry(空腹)、Angry(怒り)、Lonely(孤独)、Tired(疲 労)を意味し、このような状況下で人は不安状態に陥りやすいとされます。朝食や昼 食を抜いたり、職場で激しく口論したり、海外で強い孤独感を感じていたり、ひどく 疲れているときは、不安神経症に陥りやすいので注意が必要です。もし自らの状況を 点検してHALTがあるようであれば、これを減じるようにライフスタイルを改善するこ とが必要です。
 他に恐怖神経症、強迫神経症、抑うつ神経症などが神経症の種類として挙げられま す。また海外勤務を契機として不適応状態からうつ病に陥るケースもあります。

<予防対策>
 海外赴任者がこのような病態に至る大きな要因には、環境変化にせよ対人葛藤にせ よ、種種の状況因により「心理的疲労」をきたすことがあげられます。人は心理的疲 労状態に陥ると、現実生活を送るための適応能力が低下し、不安症状や抑うつ症状が 出現します。そして、これら病的不安に対し、抑圧・逃避・反動形成・置き換えと いった心理的防衛機制が作用しますが、心理的疲労状態では、これらの諸機能がうま く奏功せず、結果として種々の神経症症状を生じることになると考えられています。
 すなわち海外勤務においてこれらの疾患を予防するという視点からは、心理的疲労 状態に陥らないことが肝要といえます。そのために注意点としては以下のものがあげ られます。1)対人関係や環境変化などでストレスが生じた際には、できる範囲内で 問題解決に積極的にアプローチし、消極的・逃避的な対処をしないこと。また、周囲 に仲間を十分に確保し、語り合ったりスポーツをしたりして積極的に気分転換を図る ことも重要です。2)楽観的姿勢を保持すること。海外では予測不可能な事態が多 く、自分一人で深刻に問題を抱えすぎるという悪循環に陥る危険性があります。無責 任というのではありませんが、「どうにかなるさ!」と考え、鷹揚に構える姿勢も海 外では必要です。3)生活や仕事に充実感を得られるように工夫すること。充実感の ない精神に空虚な状態というのは想像以上に精神的に消耗する側面があります。何ら かの着眼点を見つけ、より充実した楽しい日々を送ることが大切です。4)仕事の量 を適制限内に押さえ、職場での人間関係を良いものにする。特に職場内の人間関係は 重要です。いかに工夫しても職場内人間関係が改善しない時は、その状況から心理的 ・u梛覧」を取る必要が生じる場合もあります。
 最後に、神経症やうつ病を有しながら海外赴任に赴く場合は、しっかりと服薬し、 日本の担当医とも万一の時に連絡を取れるようにしておくこと、そして現地で信頼で きる医療機関を確保することが必要です。症状が増悪する場合には、速やかに帰国す ることが原則となります。過去に精神科治療歴を有する人の海外渡航は慎重を要する といえます。

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 予防接種あれこれ

 ホープコネクション顧問 精神科医 南川 節子

 先ごろ、メルボルン在住のKさんから破傷風予防接種についての体験記をお寄せいただきました.わたくし自身も子供の予防接種のことで困った経験もあり、オーストラリアと日本の違いなどを中心に予防接種の話題を取り上げたいと思います.まずは、Kさんの体験記から.

 オーストラリアに移住して9年目に入り、もうそろそろ破傷風の予防注射をしたほうがいいかなあと思っていた矢先、主人から電話.「会社で指切ってさあ、大したことないんだけれど、係の人に Medical Centre に連れて行かれて、破傷風の予防注射もただで打ってもらっちゃった.」とのこと.私の頭の中には、「あら、大丈夫かしら.」と「抜け駆けはずるい.」の二つのことが一度に浮かびました.結局、わたしもそこでアポイントをとり、Medicare Card をもっているので、ただで予防接種を受けることができました.その後何ヵ月かが過ぎ、仕事の関係上、日本からの留学生がキャンプに行くため、破傷風の予防接種に連れて行くことになったのですが、日にちがなく、Council Health Service の Immunisation Program では、一週間に一回のため間に合いません.GPの先生に連絡をとり、そこでは注射液をもっていたので、15ドルで受けられました.(注射液は用意してあるGPと、薬局に買いに行かなくてはならない場合とがある.)また留学生ですので支払った15ドルも健康保険である程度カバーされるとのことでした.(メルボルン在9年主婦より)” この体験記からいくつかのポイントを拾い上げてご説明してみましょう.

 1)予防接種はどこで受けられるのか? かかりつけのGPのある方は、そこに行くのが一番簡単でしょう.しかし、Kさんの場合のようにBulk Billing のGPでしかも接種薬を備えているところ以外では、診察料及び薬剤料がかかります.次の選択肢は、Council Health Service の Immunisation Program を利用することです.これは、各々の地域の Council が定期的に、Community Centre などで集団接種をおこなっているもので、無料です.Medicare を持っていない方でも利用できます.Council 発行の Community Directory/Guide 等でお住まいの地域の Health Service の電話番号を調べて、日時・場所などをお尋ねください.就学児童・生徒については、日本と同じく、学校で集団接種が行われますのでそれを利用されることをお勧めします.就学前の乳幼児については Maternal and Child Health Service を通じて接種が受けられます.

 2)破傷風の予防接種は大人にも必要か?

破傷風(Tetanus) の予防接種は三種混合ワクチン(DTP: 日本では DPT と言います)のなかに含まれていて、殆どの子供が接種を受けていますが、最終接種後、約5~10年経つと免疫が失われると考えられています.日本では、小学校6年生で最終接種を受けますので、二十歳を過ぎるころになれば、追加接種が必要になります.これをしなかった場合、破傷風に感染する危険性が出て来ますので、Kさんのご主人のように怪我をしたときに破傷風トキソイド(予防接種)をうってもらう必要があります.破傷風は、気にも止めなかったような小さな傷から感染することもありますので、Kさんのように定期的に予防接種を受けられることをお勧めします.

 3)どんな予防接種を受ければよいか?

オーストラリアで一般に行われている予防接種は、日本と殆ど変わりませんが、接種の時期や組み合わせが多少違っていますので、それらを比べながらみてみましょう.次に挙げるのは、オーストラリアでの Immunisation Schedule です.

年齢 種類         対象疾患

 2ヵ月    DTP(三種混合)  ジフテリア(Diphteria)、 破傷風(Tetanus)、百日咳 (Whooping Cough)

Sabin(経口投与) ポリオ(Poliomyelitis)

Hib B型インフルエンザ菌感染症 

 4ヵ月    DTP(三種混合)   ジフテリア、破傷風、百日咳

Sabin(経口投与)  ポリオ

Hib B型インフルエンザ菌感染症 

 6ヵ月    DTP(三種混合)  ジフテリア、破傷風、百日咳

Sabin(経口投与)  ポリオ

Hib B型インフルエンザ菌感染症 

 12 ヵ月   MMR(新三種混合)   麻しん(はしか;Measles)、 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ;Mumps)、                      風疹(三日はしか;Measles)

 18ヵ月 DTP(三種混合)  ジフテリア、破傷風、百日咳

Hib B型インフルエンザ菌感染症 

 5歳     DTP(三種混合)  ジフテリア、破傷風、百日咳

Sabin(経口投与 )  ポリオ

 11-12歳 MMR(新三種混合)  麻しん、流行性耳下腺炎、風疹

 15-19歳で ADT(Adult Diphtheria and Tetanus :成人用ジフテリア・破傷風ワクチン)と ポリオワクチンを接種

日本との大きな違いは

*日本では5歳でのDTPの接種はなく、代わりに小学校6年生でDT(ジフテリアと破傷風の二種混合)を接種します.

*日本では現在 MMR は行われておらず、各々単独で接種.流行性耳下腺炎は任意接種.オーストラリアでは個別の接種剤は使用されていないので、三疾患のうちどれか1つのみの予防接種を希望する場合でもMMR を使用することになります.

Hib は日本では一般には接種されていませんが、B型インフルエンザ菌は、乳幼児の肺炎・髄膜炎等を引き起こす細菌.(インフルエンザの原因であるインフルエンザウィルスとは別ものです.)

*ツベルクリン反応、BCGといった結核の予防接種は、オーストラリアではされていません.

*オーストラリアでは上の表にあるように数種類の予防接種を組み合わせて同時に接種します.わたくしの子供の例ですが、Council の Immunisation Program にMMR を接種しに行ったところ、「この子は Prep だからもうすぐ学校で DTP と Sabin の接種を受けることになるが、いま MMR をするとこのあと一月は Sabin は受けられなくなる.面倒だから今日全部やってしまってはどう?」と勧められました.全部で7つの病気の予防接種をいちどにやっていいのかしらと今までに経験のない発想にびっくり仰天しながらも、それをあたりまえのように気軽に勧める Community Nurse と Dctor の経験を信じて接種を受けさせました.そして、DTPの注射部分が少し腫れたくらいで特に問題なくすんでしまいました.数種類の予防接種を組み合わせて同時に接種した場合、免疫のでき方が悪くなるのではないかという議論が日本でもなされていましたが、MMR についての研究の結果、悪影響はないと考えられるようになっています.同時接種をするかどうかは、かなり慣習によって左右されているのではないでしょうか.とはいっても、不安や疑問があれば、十分に doctor に相談されることが大切なのは言うまでもありません.

 Hope Connection では、Immunisation Program で予防接種を受ける場合に手渡される説明書の日本語訳を用意しました.これには、上記の Immunisation Schedule の他、接種を受けては行けない人の条件や副反応についての説明などが書かれています.ご希望の方は、返信用封筒を同封の上、お手紙でお知らせください.

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Melbourne Sexual Health Centre のご紹介

HOPE CONNECTION 顧問 精神科医 南川 節子

 私たちの日本語電話相談に,これまでに何件か AIDS ( Acqired Immune Deficiency Syndrome: エイズ ) や性病など、性についてのご相談がありました。内 容は様々ですが、共通していたのは、多くの人に生じうることであるのになかなか口 に出しにくく、しかもできるだけ早い対応が望まれる切実な問題だということでし た。そこで今回は、AIDS を含めた性行為感染症に関する相談・検査・治療を匿名で しかも無料で受けられる Melbourne Sexual Health Centre のご紹介をしたいと思 います。
 性行為感染症( 英語では Sexually Transmitted Diseases/Infections, STDsと略 されます ) は少々馴染みの薄い言葉かも知れません。これは,従来から「性病」と 言われていた淋病・梅毒・軟性下疳・鼠径リンパ肉芽腫に加えて、AIDS・性器ヘルペ ス感染症・非淋菌性尿道炎・B型肝炎などの、やはり性行為によって感染する細菌や ビールスなどによってひきおこされる病気を併せて言うものです。AIDSは、その致死 率の高さと治療の困難さのため注目を集めていますが、その他の治療が比較的容易な 性行為感染症でも世界中で感染者があとをたたず、日本やオーストラリアもその例外 ではありません。ハイリスクの性行為(不特定多数の相手との性行為、あるいは不特 定多数の相手との性行為を経験していると予想される相手との性行為、特にコンドー ムを使用しない場合など)を避けることが予防の手段ではありますが、人間の性と生 の複雑さを思えば、それで事足れりとするわけにはいきません。
もしもこれらの感染症にかかっているかもしれないという不安があるなら、できる だ け早くきちんと診察・検査を受け、必要ならば治療して後遺症を防ぎ、また自分自身 が感染源にならないことが責任ある態度といえます。しかし、こういったことはなか なかオープンに誰にでも相談できるものではないでしょうし、GPに相談するにも決心 がいるという方もあるでしょう。
Carltonにある Melbourne Sexual Health Centre では年齢・性別・メディケアの 有 無などに関係なく、性行為感染症に罹っている人或いはその心配がある人の相談を受 け付けています.専門医・看護婦・カウンセラー・臨床検査師・薬剤師といったス タッフをそろえ、相談・診察・検査から治療・投薬に至るまでが無料で受けられま す.相談に訪れる人のプライバシーへの配慮から,身分証明の提示を求められること はありません.メディケアカードもGPからの紹介状も不要ですので、ともかく電話で 予約を入れてください.予約なしで行っても決して断られることはありませんが、い くらか待たなければならない場合もあるそうです.

住所・電話番号は
  580 Swanston Street, Carlton 3053
Phone: 9347 0244  Country Regions: 008 032017
Fax: 9347 6757

この記事についてのご質問あるいはご相談などありましたら、Hope Connection まで ご連絡下さい.
 電話: 017 874 824 ( 日本語電話相談 ) 
  郵便: c/o Migrant Resource Centre, 161 Fitzroy Street St. Kilda 3182

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オーストラリアでの出産

西村 文子(助産婦) 南川 節子(精神科医)

今回はオーストラリアで出産することを考えていらっしゃる方のための話題です。 妊 娠・出産には不安なことがいろいろとつきまとうものです。外国での出産となればな おのこと。的確な情報を得て、少しでも不安を減らしていただきたいものです。  出産についてよくあるお尋ねは、「出産するのに、どこの病院がいいでしょう。」 ということですが、これはなかなかお答えしにくい質問です。というのは、それぞれ の方がどんなお産を望んでいるか(自然な分娩?無痛分娩?とにかく安全な分娩?・ ・・)、どこに住んでいるか、費用はどの程度を予定しているかなどによってお勧め すべき施設が変わってくるからです。というより、どこかを「勧める」ということ自 体が適当ではないのかもしれません。あくまで、出産する方とその家族の「どんな出 産をしたいのか」という価値基準にあった選択こそが大事なのだともいえるからで す。そこで今回は、自分にあった施設を選ぶための基礎知識として、当地の出産施設 について一般的なお話しをしたいと思います。
 妊娠かなと思った時は、GPの診察を受けて妊娠の有無を確認してもらいます。ある いは薬局で市販している妊娠判定薬を使って自分で検査をすることもできます。GP で妊娠であることが確認されたら、どこで出産するのかを決めてGPの紹介状を持っ て受診し、それ以後の定期検診から出産、出産後の母子検診までをその施設で受ける ことになります。その際の選択肢と、それぞれの特徴を大まかにご説明しましょう。

1)病院の産科:オーストラリアの病院は公立(public hospital) と私立(private hospital) に別れています。Medicare の適用で公立病院で出産する場合、担当医師 を指定することはできませんし、病院が提供する形での出産になります。費用の個人 負担はなく、通常の入院期間は5日となっています。私立病院では医師を自分で指定 でき、入院期間も希望に応じてくれますが、費用は大体$4,000-5,000以上ほどかか ります。病室などの施設やその他のサーヴィスは、公立に比べると充実しています。 Medicare の適用外の方が、公立病院を Private 患者として利用する場合には、医師 を指定することができ、費用も私立病院に比べれば割安となるようです。施設やサー ヴィス内容は各病院によりかなり異なります。できればいくつかを見学してから選ん でみてはどうでしょうか。
2)Birthcentre:いくつかの公立病院に付属する形で設置されている Birthcentre では、助産婦(Midwife) が主体となって正常妊娠・分娩を扱い、私立病院に劣らな い整った施設・設備とゆったりとした家庭的な雰囲気の中での医療介入の少ない自然 な分娩が行われています。入院期間は短く、筆者の一人西村が Monash Birthcentre で出産したときには、出産後24時間で退院でした。このように早い時期での退院に対 応するために、地域の Royal District Nurse が最初の一週間に3回、自宅を訪問し ます。母親の血圧測定・乳房や傷の具合の観察、出生児の体重測定や反射の検査など を行い、授乳・育児・産後の生活指導をしてくれます。また、自宅の最寄りの Maternity Child Health Centre の助産婦の自宅訪問も受けられます。メルボルンで は、Royal Wemen's Hospital, Monash Medical Centre, Mercy Hospital for Women 等にあり、Medicare が使えますし、その対象外の方でも費用負担は数100ドル程度の ようです。また、緊急事態が起きた場合や、異常妊娠であることが分かったときなど すぐに病院からぁw)дサポートが受けられるという利点もあります≫・・#010; 3)産科専門のGPクリニック/産科専門医:Yellow Pages のMedical Practitioner の項をみると、 Obstetrics/Gynecology、GP Obstetricsといった医師が見つかりま す。あるいは、妊娠を確認したGPに紹介してもらうこともできます。これらは、産 科・婦人科専門医とGPのなかでも産科を扱う医師で、妊娠から出産、産後まで一貫 して一人の医師にみてもらうことができる利点があります。その一方で、自分の望む 出産を提供してくれる医師を慎重に選ぶことが大切になります。出産はその医師の指 定する病院で行うのが一般的です。
4)自宅分娩:ごく少数ではありますが、自宅での分娩を扱っている登録助産婦もい ます。Yellow Pages の Childbirth Servives の項をみると、数件の Midwife への 連絡先がわかります。電話や書面で連絡を取ってみて下さい。費用は大体$1000 程 度でMedicare の適用はありません。正常妊娠・分娩のみを扱います。
 以上のようなことを参考にしていただいて、知り合いの経験談などの情報もしっか り集めた上で、いくつかの施設を見学してみられることをお勧めしたいと思います。 その際に、自分がどんな出産を望むのかをはっきりさせておくことが大切なのは言う までもありません。また、担当の医師や助産婦としっかり意見の交換をする事も大切 で、西村の経験でも、定期検診の時にただ医者の言うことを聞いていると、どうして いろいろと質問しないのかと不思議がられました。言葉の問題でうまくコミュニケー ションがとれないと思ったら、医師や助産婦に通訳を付けてもらうように頼んで下さ い。多くの場合、無料で通訳サーヴィスがうけられます。どこの施設でも母親学級の ようなものを開いていますので、積極的に参加しましょう。実用的な知識や出産にま つわる英語の語彙が得られるだけでなく、日本との違いに気付くことができるかもし れません。文化の違いや言葉の問題にめげず、積極的に自分にとっての「理想の出 産」を追求しましょう・・・というのは少し大袈裟でしょうか?

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カルチャースクール 「女性の健康問題」 紙上レポート

 去る11月20日,モナシュ大学大学院に留学中の産婦人科医師、大隈良譲先生にお越しいただき、女性の健康問題についてのセミナーを開催いたしました。「女性の健康問題」というたいへん幅広いトピックであったにもかかわらず、大隈先生は快く講師を引き受け下さり、子宮ガンから男女生み分け法まで、最新の情報をまじえながら素人にもわかりやすいお話をして下さいました。紙上を借りて深くお礼を申し上げたいと思います。

 さてここでは、紙面の都合上講演の全部をご紹介できず残念ですが、子宮がんについてのお話をレポートしたいと思います。

 すべての女性に関係するもっとも大きな健康問題のひとつは、女性性器のガン。その中でも子宮頚ガン(子宮の中でも膣に近い子宮頸部に出来るガン:cervical cancer )が80%を占めています。早期の子宮頚ガンには、ほかの臓器のガンもそうであるように、特別症状はありません。不正出血 ( abnormal uterine bleeding ) やおりもの ( vaginal dischrge ) の異常、痛みなどの症状が出るのは進行したガンです。ガン組織が子宮頸部の粘膜だけにとどまっている場合には、Cone 切除という子宮が膣に入り込んでいる部分のみを切り取る手術ですみます。この場合の5年生存率はほぼ100%です。ところが、これを越えてガンが拡がっていくと、子宮全体を手術で取り除いたり、化学療法や放射線療法を加えたりする必要が出てくる上、生存率もどんどん下がっていきます。

ほとんどの早期子宮頸がんは子宮ガン検診( Pap smear test )という簡単でかつ安全な方法で見つけることが出来ます。子宮ガン検診は、膣から子宮頸部を見て、綿棒で軽くこすってその部分の細胞を採取し、顕微鏡で細胞の形などに異常がないかをを調べるものです。定期的に子宮ガン検診を受ければ、子宮頸部の細胞がガンとはいえないまでも少し正常と違っているという段階で異常を発見することができ、子宮頸ガンで大きな手術を受けたり、命を落としたりする可能性をほとんど予防することができるわけです。

 日本では子宮ガン検診は毎年受けるように勧められていますが、オーストラリアでは検診で異常がなければ2年後に検査を受けるように指導されています。正常な組織がガンになる確率が、1年後よりも2年後の方がほんの少しでも多くなることを考えれば、やはり1年毎に検査を受けた方がよいのではないか、というのが大隈先生のご意見でした。

 もう一つの子宮ガンである子宮体ガン(endometrial cancer ) は子宮頸ガンに比べると高齢で少産の女性に多いといわれています。これもやはり早期に発見することが大事ですが、子宮頸ガンほど簡単な検診方法はまだありません。ただし、Pap smear test の際に子宮内膜の細胞の異常が見つかって、子宮体ガンの発見につながることもあります。そういった意味からも,簡単で安全で有効な子宮ガン検診を定期的に受けていただきたいと思います。子宮ガン検診はかかりつけの GP(一般開業医)のところで簡単に受けられます。

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ドラッグ問題 -カルチャースクール紙上レポート-

 去る8月21日(土)第10回ホープコネクション・カルチャースクールが開催されました。今回は頻繁にメディアでとりあげられている「ドラッグ問題」をテーマにTurning Point Alcohol & Drug Centre Inc.で教育・トレーニング部門を担当されておられるSandra Roegさんに講師をお願いし、ドラッグ問題の基礎的な知識、情報を提供していただきました。ドラッグといえばすぐに「麻薬」を連想しがちですが、ドラッグにはアルコール、タバコも含まれ、オーストラリアではそれぞれ年間100億ドル、40億ドルがその購入に使われているそうです。ヘロインなど売買が禁止されているドラッグの密売にも40億ドルが費やされているということですから、極めて簡単にこれらの麻薬が入手できることを示唆しています。

 中でもヘロインは、キャップといわれる数回分の分量を15~20ドルくらいの値段で買うことができ、若者への浸透が心配されています。しかし、麻薬常習者は広く社会に分布しており、社会階層や居住地域で特定することは難しく、「麻薬撲滅」自体を対策目標にすることは現実的でないと考える専門家が多いようです。従って、その害を最小限に押さえるHarm Minimisationという対策が85年より講じられ、過剰使用、及び注射針共有によって引き起こされる死亡事故、AIDSなどの感染防止などで成果を上げています。最近NSW政府が発表した安全なヘロイン注射、専門家によるカウンセリングなどのための公的施設の設置なども現実的対応のひとつとしてみることもできるでしょう。麻薬の中でも特にヘロインは常習すると外界の認知力が著しく低下し、眠気が続いたような状態を呈するそうです。また最悪の場合には死に至るという危険なものです。

 ドラッグ問題は年頃の子供を持つ親にとってはことさら心配の種でもあります。この点に関しては、Sandraさんはご自身の体験も踏まえ、子どもとの対話のパイプがあること、一方的に非難・批判するのではなく、いつもヘルプしたいのだという態度を見せていることが大切ではないかとおっしゃっておられました。ヘロイン常習者には、人がそばにいない場合は飲用・摂取を避けるようにアドバイスしているそうです。過剰摂取による死亡事故などを未然に防ぐためだそうです。また路上で倒れている人を見かけたら声をかける、携帯電話を持っていたら、救急車を呼ぶなどしてあげることも大切だとお話しされました。

 いずれにしてもドラッグ問題は犯罪とも結びつく深刻な社会問題です。オーストラリアの犯罪の80%はドラッグに絡むものだそうです。筆者がたまたまある地域の商店街を昼間歩いていたところ、それらしいものを若者が手渡しているのをごく最近見ています。参加者の方の質問にもありましたが、ドラッグが簡単に手にはいってしまう途をどこかで断ち切れないもでしょうか。

 日本人コミュニティーの中では実際ドラッグがどれだけ問題なのかどうかはほとんど分かっていません。存在していないのか、表面に出てこないだけなのか、いずれにしても私たちにとって、他所事とは思えない身近な問題であることを教えられたセミナーでした。なおドラッグ関係の相談は、24時間直通ライン 9416-1818 が受け付けてくれます。

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ドラッグ問題を考える(その1)-親子のコミュニケーション

Turning Point Alcohol & Drug Centre Inc. の Sandra Roeg さんにお話を伺いました> 

 親にとって子供のドラッグ使用は見るに耐えないことです。どの親も直ちにやめて欲しいと願うわけですが、さてどのようにしてやめさせることができるでしょうか。親にもサポートは必要です。ドラッグについての懸念や感情を友人、家族など誰かと話し合ってみてはどうでしょう。

 大麻は現在、違法物質の中では最も多く使用されているものです。親は、まず大麻が人にどんな影響を与えるか正しい情報を知る必要があります。もし子供が大麻を使用していることに気づいて、やめさせたいと思ったとき、子供に「大麻使用には賛成じゃないわ、あなたも大麻のことをもっと調べてみなさい。そうすればどんな影響があるのかがわかるでしょうから。」 と話すことができます。

 子供が大麻を使用している場合、注意する点がいくつかあげられます。頻度はどれくらいでしょうか。もしかすると一度試しただけかもしれません。それとも週末だけ、あるいは毎日でしょうか?子供は普段の行動、例えば学校生活や交友などを維持しているでしょうか?ドラッグ使用以外の生活活動を維持しているのであればさしたる問題ではないかもしれません。精神的、身体的な状態に変化が見られますか?親自身の状態はどうでしょう?ドラッグ問題以外に何らかのプレッシャーを抱えてはいませんか?家族からのサポートは得られますか?

 思春期の子供は変わりやすいものですが、その通常の変化をはるかに越える大きな変化が子供の素行に現われた場合は気を付けなくてはなりません。食生活、交友関係が大きく変わったり、極端に機嫌が悪かったり落ち込んでいたりする場合です。誰でも我が子がドラッグを使用しているとなれば胸が痛みます。ダメージにつながるような行動は何もして欲しくないと願うのが親の心でしょう。

 大麻はソフトドラッグとも言われヘロインに比べると軽いドラッグですが、人間の機能を低下させ、多量に摂取すればかなり気分が悪くなります。長期使用の影響や精神病との関係において未だに論争が続いているのが実情です。アルコール問題にも似ていると言えます。長期にわたって毎日6杯以上飲み続けたり、妊婦が毎日1本飲むとなれば問題が生じますが、週末に1-2杯なら問題にはなりません。しかしながら一方は合法、もう一方は違法であることを覚えておいてください。

 大麻はさらなるドラッグ使用への入門書だと言われますが、必ずしも真実ではないと言う説もあります。大麻使用者は大麻だけを摂取し、中にはアルコールを摂取する人もいますが、ヘロインなど他のドラッグに手を出さない人が多数です。大麻使用が発覚した場合に親と子の間で、どのような妥協策を講ずることができるでしょうか?親が子供の大麻摂取量を制限する必要があるかもしれませんし、「あなたがドラッグに影響されている姿を見たくないのよ。」と家の中では使用しないように頼むこともできます。

 親には戦略が必要です。できれば子供と一緒に作戦を考えてみてください。子供を叱れば自分から離れてしまうことを心配する親もいらっしゃると思います。親には何の力もないような気にさせられますが、常に子供を導く方法はあるのです。子供と良いコミュニケーションを保ち、ドラッグについて話し合うことが重要です。「ドラッグはいいことではないわね、私の子供達はドラッグに手を出して欲しくないわ。」アルコールって何?大麻は?ヘロインは?どうしてヘロインのことがこんなに話題になっているの?会話のきっかけをつくるために友達のことを話題にしてみましょう。友達でドラッグやってる子はいる?学業に影響してる?友達としてどう思う?もしその子がドラッグを使用してなかったらどうなってるかな?親が子供の行動に興味を持っていることを示してください。年頃の子供だけでなく、年少の子供も含めて家族全員で話し合いましょう。なぜならドラッグは常にニュースになっており、誰でもすぐ手の届くところにあるからです。私達はアルコールを飲み、煙草を吸います。18歳になればLの運転免許を取ることができますが、免許を取る前にアルコールの影響について親は指導しなくてはなりません。自分が知らないことは「わからないけれど、調べておくわ。」と答えればいいのです。

 ドラッグ問題全般についてはHarm minimisation、害を最低限にとどめる戦略がひとつの方法です。家庭内でドラッグの使用が発覚した場合に、家族への害をいかにして減らすかということです。お互いに妥協することとなるため、親にとっても子にとっても、満足行く結果とはならないかもしれません。簡単なことではありません。爆発することなく落ち着いて話し合うことが大事です。すべてを直ちに解決してくれる魔法の杖は存在しないのです。

 Turning Point では 24時間のDirect Lineというドラッグに関する電話相談および情報を提供しています。ご家族もDirect Lineのサービスを利用することができます。

Direct Line 03 9416 1818 日本語の通訳が必要な場合は、この電話番号におかけになり通訳を依頼して一旦受話器を置き、先方からの電話を待つ形になります。相談、通訳共に無料です。

 ドラッグに関するさまざまな情報、教育のためのビデオなどはAustralian Drug Foundationより入手できます。

電話: 03 9278 8100

メール: adf@adf.org.au

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ドラッグ問題を考える(続)- 事例研究:娘の暴力と麻薬

 前号より引き続きターニングポイントのサンドラさんのお話をご紹介します。

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 前号では、麻薬に関する知識および親子のコミュニケーションが大事であることを述べました。さて、ここでよくありそうな親子問題を例に取り上げてみましょう。

 母親と20歳になる娘がいたとします。彼女はヘロインなどの麻薬を使用しています。娘が麻薬欲しさに違法行為を働かないように、母親は娘にお金を渡しています。また、もし母親がお金を渡さなければ娘は暴力をふるいます。

 この母親は明らかに助けが必要です。娘の麻薬使用のためにお金を渡すことで譲歩しています。娘は母親を脅しています。もし、母親が娘に怪我をさせられるようなことがあれば、警察を呼ぶこともできるわけですが、母親としてためらいがあるかもしてません。

 この母親は娘にお金を渡し始めたことで慣例をつくってしまいました。娘との関係を維持したかったのかもしれません。しかし、娘が他の誰かにも同じことをしているのではという疑問も発生します。また、この状況が続けばあやまって娘が母親を事故死させてしまうような取り返しがつかない事態も考えられます。母親は自分自身の危険と娘を警察に密告したくない気持ちとの間に板挟みになった状態です。

 娘が家を出れば日々の衝突は緩和されます。母親は「おかあさんは敷金だけをあげますから、他は自分の責任でなんとかやりなさい。」と言ってみることもできます。娘は敷金を他の目的に使ってしまうかもしれませんが、それは彼女の選択でしょう。

 すでにこの母親は精一杯譲歩しています。彼女には力はありません。娘にお金を渡すことで、母親は麻薬使用に共謀しているのです。娘との関係を断ち切りたくない気持ちは母親にとって切実なことでしょう。しかし、麻薬入手の手助けをしているために娘が麻薬をやめられないことも事実です。

 母親はどんな筋書きを希望しているのでしょうか。多分、娘が麻薬使用をやめることという答えが返ってきますが、娘はもう成人して、ヘロイン常習者で、多分もう長いこと使用しています。数週間でやめられるものではありません。

 人々はつらい状況にはまり込んでしまうと、もう何も変わりっこない、変わるとすれば奇跡が起こるより

ないとあきらめてしまいます。希望を保つために、麻薬以前はどうだったのかを思い出してみてください。昔はどうであったか、そして、あなたが今望むことは何かを考えてみてください。

 母親は、手始めに「2週間でいいから家から娘がいなくなって欲しい」と望んでいるだけかもしれません。そのような休息を、どうやってとることができるでしょうか。どのようにしてサポートを探せばいいのでしょう。もし娘が改善する気がまったくないのであれば、戦略はほとんどありません。母親にできるのは各種サービスについての情報を集めて、娘がそれを手に取ることを待つのみです。

 Direct Lineのような電話相談サービスに電話をするのは勇気が必要です。しかし、あなたのジレンマを話し、どう感じているかを話してみることが助けになるかもしれません。Direct Lineは麻薬関連サービスについて情報提供するほか、心理学者、医師、精神科医を紹介することもできます。

 一方、娘もこの生活に嫌気がさしているのかもしれません。母親は娘にお金を渡す以外の何らかの手助けを提供してあげることができればと思います。

ウエストメルボルンのAustralian Drug Foundation 図書室では教育用ビデオを貸し出しています。Australian Drug Foundation は小、中学校にて麻薬教育を提供しています。今日ではほとんどの子供達が学校で麻薬教育を受けます。

 

Direct Line 電話03 9416 1818

Australian Drug Foundation 電話03 9278 8100

電子メールadf@adf.org.au

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 今回はサンドラさんのお話からひとつの事例を中心にまとめました。8月18日付け新聞 The Age によれば、「高校生の65%はたばこを吸ったことがあり、35%が大麻を試したことがある。また、18%が睡眠薬またはトランキライザーを服用したことがある。3%近くがヘロインなどのアヘン剤を試したことがある。1%がステロイドを使用したことがある。」と紹介しています。更に「オーストラリアにおけるヘロイン関連の死は今年初めて1000件を超える見込みである。」とのことで、若者の麻薬使用は依然として大きな社会問題のひとつとなっています。連邦政府はその対策として、教育用小冊子『私たちの最強の対麻薬武器・・・家族』を今年100万戸以上の家庭へ郵送するという

ことです。この小冊子によれば「親から麻薬の危険について学んだ者は大麻を吸引する率が36%少ない・・・コカインを使用する率が56%少ない、LSDを使用する率が65%少ない。」とThe Age 紙は伝えています。予防対策に親の役割が大きいことを改めて考えさせられます。           (この稿終わり)

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カルチャースクール「オーストラリアの食材探検」紙上レポート

 去る8月19日、ホープコネクションでは「オーストラリアの食材探検」と銘うって、多民族都市メルボルンに集まる様々な食材についての情報交換会を行いましいた。食にこだわることは引けを取らず、という参加者の皆様の熱意に助けられて、活発に情報が飛び交い、大変楽しい会になりました。ご参加いただいた方々に、改めてお礼申し上げます。この会での話題は、チーズについて、健康食品である豆類の上手な利用方法、アジアの食品、日本ではあまり見かけない野菜類の話、などなどいろいろでしたが、今回の紙上レポートでは「野菜の話色々」をお届けしたいと思います

 メルボルンの八百屋さんでは普通に見かけるけれど、日本人にはなじみのうすい野菜がたくさんあります。一度試してみたいと思うけれど、調理の仕方がよく分からないため尻込みしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。セミナーでは写真や実物をお見せしたり、味見をしたりできたのですが、紙上ではそうもいきません。

少しわかりにくいかも知れませんが、ヨーロッパでよく使われる野菜を選んで、その名前と代表的な調理法などをご紹介いたします。

 

Artichokes

周囲の葉の先をはさみで切り落として整えます。軸は2cm程残して。軸を下にして鍋の中に立たせて、沸騰させた薄い塩水に下1/3がかぶるくらいにして、ふたをして約15分ゆでます。葉を一枚ずつちぎって、溶かしバターにたっぷりのレモン汁と粗引き黒コショウを加えたものにつけて、葉の根元の柔らかい部分を歯でこそげとって食べます。テーブルにはFinger Bowl がいります。

Beet root

茎2~3cmとしっぽ全部はつけたまま、皮もむかずに茹でます。(色が出てしまわないために。)蒸したりホイルに包んでオーブンで焼いたりも。かなり火が通りにくく、調理に時間がかかります。ゆであがったら、手袋をして、蛇口の下で皮をむきます。(手に色がつくと当分とれません。)

スライスして、red wine vinegar と olive oilとたくさんのパセリであえて、どうぞ。

Cereliac

何かの根っこのような、丸蕪をごつごつさせたような野菜。セロリの仲間で、同じような香りがします。薄切りにしてオリーブオイルをまぶし、200度のオーブンで周りに焦げ色が付くまで焼くと、Cerelic Chipsの出来上がり。きんぴらにしても美味しいかもと言う意見も出ていました。

Dates

歴史は紀元前3500年のメソポタミアに遡るそうです。なまのものとsemi-dried のものがあり、ふつうのレシピにはどちらでも使えます。切る時は、刃にひっつくため、包丁よりも料理ばさみの方がうまくいきます。お菓子に使うことが多いのですが、芳ばしく焼いたベーコンとクリームチーズ、好みのハーブとコショウをまぜたものをつめてワインのお供に。

Fennel

外側のいたんだ茎と上の方の細い茎と葉は取り除きます。薄くスライスしてなまで食べても、あつく切って茹でてもおいしくいただけます。1cm位の厚さに切って茹でたものを水切りしてグラタン皿にのせ、削ったチーズ(Gruyere, Mozzarella, Regionella,

Pecorino など)と粗引き黒コショウを振りかけて、グリルで焼き色をつけて食べてみてください。

Parsnip

白い人参のようなあの野菜です。皮をむいて、中の芯を取って使います。ピュレやローストで食べるのが一般的。

にんじん、ターニップ、ポテトなどとともに厚切りにしてオリーブオイルをまぶし、コショウをして2~3個の皮付きガーリックとともに200℃のオーブンで約45分間、時々かえしながら柔らかくなって焼き色がつくまでローストします。

Rhubarb

甘くあじつけして食べます。パイやタルトなど、お菓子に使います。葉は有毒なので食べられません。根元のへん平な部分は取り除き、太くて緑色がかったものは筋とりをしてください。砂糖と少量の水を加えて煮て、筋の多いジャム状になったものをシリアルと一緒に朝食に食べるのがこちら風。

Silver beet

ハクサイの要領で使います。ただ、葉の外側の筋は取ってください。長すぎて冷蔵庫におさめるのが大変なので、葉の部分と軸の部分は切り離してしまいましょう。

サーディンをオリーブオイルでいためたものに、ゆでて水きりしたSilver beetを加え混ぜ合わせ、そのまま食べてもいいし、スパゲッティにのせても。松の実を加えても美味しい。

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運転免許の取り方  -ヴィクトリア州の場 合-

<編集部注>
当記事は、吉澤ドライビングスクールの吉澤通明氏よりご寄稿いただきました。

 ヴィクトリア州に着いて生活を始めようとするときにまず困ることの最たるもの が、生活の足である車の運転をすることだと思います。
 1997年9月、日本人に対してビジネス目的で一定の期間を経た後、日本に帰る ビザ(サブクラス457)を持っている人は、ヴィクトリア州の免許取得の際、学科 及び実地試験受験の義務が免除されることになりました(詳細は総領事館窓口にてお 問い合わせ下さい)。
 ここではその対象にならない方々のために、運転免許取得の方法を説明しておきま しょう。日本を出発する際に国際免許証(通常有効期間は、発行日から1年)を受け ることができるのは、皆さんご存知だと思います。国際免許証は、英語では International Driving Permitといい、実は正しい翻訳をすると国際運転許可証とい うことになります(なぜ許可証と訳されないのかは不思議)。ということで国際免許 証では、免許を持っていたことの証明にならず、日本の免許をお持ちの方は、総領事 館や翻訳の資格を持った会社等から日本の免許の翻訳証明を受けなくてはなりませ ん。次にVICROADSに学科及び実地試験の予約を入れます(学科試験は、世界各国語が 用意されていますが、日本語はその対象ではありません。しかし、マンツーマンの通 訳を試験場が手配してくれます。その費用を心配する必要はありません。依頼する方 法は、受験予約時にその旨をはっきりと伝えましょう)。受験日が決まったら指定の 日までに費用を送り、予約を確定させます。受験日までしっかりと勉強しましょう。 学科は独習(ヴィクトリアトラフィックハンドブック)でも可能性がありますが・u 栫A特に実地は普段の運転とは違いますので、現地のドライビングスクールに通われ ることをお薦めします(通常1レッスン45分で$25~30)。受験当日には、身 分証明(パスポート)、居住の証明(銀行の残高証明など)が必要です。
 日本の免許を持たない場合、身分証明(パスポート)、居住の証明(銀行の残高証 明など)があれば、受験できます。 VICROADSにラーナーパーミット学科試験(コン ピュータ)の予約を入れ、受験料を払い込みます。学科合格後、25歳以下は6カ月 後、25歳以上は3カ月後に、本試験・実地試験受験資格が生まれますので、余裕を 持って計画を立てる必要があります。本試験では、実地試験の後にもう一度学科試験 (コンピュータ)があり、その後ハザードパーセプションテスト(コンピュータ)が あります。
 日本との比較で、初心者免許取得までの試験構成は、日本の仮免許受験時の実地試 験がなく、学科に受かるとすぐに路上ということになります。本免許の実地試験で は、路上で日本の仮免許のような運転操作が要求されています。免許取得後の初心者 期間は、違反や事故がない場合3年間、その後にフルライセンスとなります。
 日本の公安委員会は、運転免許取得後3カ月以上滞在しないと日本の免許への切り 替えは認めていません。3カ月に満たない場合、路上実地試験の再受験が課せられて いるようです。

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ヴィクトリア州運転事情  もし事故に遭ってし まったら…

<編集部注>
当記事は、吉澤ドライビングスクールの吉澤通明氏よりご寄稿いただき ました。

 オーストラリアでの生活をいい思い出として日本に持ち帰るためには、色々な意味 でトラブルは避けたいと思います。特に交通事故はその最たるものです。一般の市民 が悪意なく犯罪者になるのに、交通事故ほど簡単なものはないと思います。
 日本では交通事故の際は、どんな小さな事故でも警察に届け出る義務があります が、ヴィクトリア州(オーストラリア)では、怪我人がいる場合や相手が現場にいな い場合以外は警察に届け出る義務がありません。通常双方での示談や、保険会社同士 が話し合いをして処理されているようです。当事者同士の示談は、日本人の場合、言 葉など意思の疎通上極めて不利なので、必ず保険をかけて、保険会社を通じて交渉す るのがベストでしょう。
 万が一事故の被害者になった時は、車を止め(後続の渋滞など気にせず、相手を逃 げられない状態にしておく、そうしないと逃げられる。逃げられた場合、必ずナン バープレートを控えること。事故の際に止まらないことは道路交通法で厳罰に処され ます)、相手の住所、電話番号、免許証番号、車のナンバー、車の持ち主、保険会社 の名前等を控えなくてはなりません。勿論こちらの情報も相手に伝えます。嘘をつか れないように確認できるようにしておきましょう。
 保険会社に届け出る場合、日本の警察に届け出るような事故供述などが詳しく書き 込まれなくてはなりません。この場合、ヴィクトリア州道路交通法の正しい理解や英 語で正しく表現しないと立場が入れ替わってしまいます。ただ保険会社の人に聞いた 話では、自動車保険に関してはお互いのお客さんの修理代を持つことが約束できてい るそうで、事故を引き起こした責任などの比重はこの段階では問題にされていないよ うです。保険会社は、お客さんに対するペナルティーとして保険金額を上げます。
 運悪く相手が保険に入っていない場合、通常自分の保険会社が損害賠償請求などを 代行してくれるはずです。自分が保険に入っていない場合、弁護士を立てるなりして 対応するか、すべての書類を自分自身で作成しなければならなくなります。一般社会 通念として、保険に入っていないことは考えられないというのが常識のようです。
 さらに悪いケースは、相手が無免許の場合、本人の住所を確認することもできませ ん。その場合、とにかく身分証明になるものを見せてもらいましょう。もっという と、その上に盗難車となると、登録ナンバーまでもが当てにならず、もう捕まえる根 拠は皆無になります。その場合、車の持ち主が責任を負わされることになるようです ので、盗まれないように気をつけて下さい。
 歩行者として気をつけなければならないのは、日本のように歩行者最優先ではない ということです。車社会では、車の動きを必要以上に制限しないことが前提になって いるようで、道路上を走る直進車が、歩行者に譲る義務は基本的にありません。右左 折車に対しては歩行者優先規定がはっきりとしていますが、横断歩道、学童横断路の オペレーション中(Children Crossingと書かれたオレンジの旗が出ているとき)な ど法律で定められたところ以外、直進車が歩行者に譲る義務はありません。
 事故はしない、巻き込まれないことが一番大切です。お気をつけて…

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女性への暴力、セクシュアル・アサルト(性暴力) の相談

 家庭内暴力、性暴力などは最も表面に出づらい問題です。長いことプライベー トな問題として扱われてきたこと、被害者が女性や子どもの場合が多く、「声」を出 しにくくもあり、また出しても無視されがちであったことなどにもよるのでしょう。 さらに「女は我慢するものだ」といった古い道徳・価値観に女性自身も縛られ、むし ろ自分を責めてしまい、結果的に「沈黙」してしまうケースもまだまだ多いようで す。相手の意思を無視しての性行為の強要は夫婦間においてもレイプとみなされるこ とはオーストラリア社会でも常識になっています。しかし現実には女性が「泣き寝入 り」するケースが多数と思われます。長期に渡って暴力を受けると自信を無くし、生 きる力を失うほどの人格の変化も極端な場合では起こってきます。これらの問題が個 人的なものに還元できないほど社会性を帯びていることは、メディア等を通してもう かがい知ることができます。今回この問題をご一緒に考え、メルボルンで利用できる 公的サービス機関についてご紹介しましょう。
 暴力が死亡事件や刑事事件に発展したケースもよく耳にします。日本人の女性がそ の被害に遭ったこともあります。ことにまだ言葉も不自由、事情もよく分からない国 で、一番信頼していたはずの夫や恋人から暴力を受けるとなると、せっかく夢と希望 を抱いてきたオーストラリア生活も悪夢に変わってしまいます。現地での友人、知り 合いも限られていますから、一層孤立感や絶望感に駆り立てられてしまうことにもな りかねません。問題が深刻にならないうちに外に向かって何らかの「声」を上げるこ とです。「声」を上げたことに対し周りの人達はまずその勇気を称えましょう。3年 前の沖縄の少女レイプ事件を思い出してください。12歳の少女の勇気が沈黙してい た女性たちを励ましたのです。

 オーストラリアには、暴力や性被害にあった女性たちにさまざまなサービスとサ ポートを提供する公的機関が整っています。英語を母国語としない人たちにもサービ スが行き届くよう他国語を話せるスタッフもしばしば配置されています。残念ながら こうした社会福祉の面で日本語はまだ浸透していないようです。それでも、電話での 通訳サービスが行われていますし、相談機関に依頼すれば通常は無料の通訳サービス も受けられるようになっています。これからご紹介するCASA (Centre Against Sexual Assault )ハウスもスタッフが対応できない言語の場合は、通訳を手配するそ うです。ここは女性に対する暴力、ことに性暴力に対して24時間体制で、カウンセ リング・医療・法的助言を含む情報提供を行っています。相談者の権利を尊重する立 場で話しを聞き、信頼し、個人の秘密やプライバシーを守ることを基本に置いていま すので、安心して相談できます。さらに、Royal Women's Hospital と常時連携がと られていますので、場合によっては医療面でのサービスも受けられる体制になってい ます。また、被害者同士が似た経験を通して互いに気持ちを分かち合い、サポートし あえるようなグループを設けたり、被害者の関係者(パートナー、家族、友人)など に向けての教育や助言も行っています。これはコミュニティー体が関わり合うことで 女性への暴力を無くしていくというCASAハウスの根本的な考え方からきたものでしょ う。
当ハウスの連絡先は、次のとおりです。
住所:270 Cardigan Street Carlton
電話:9344-2210(昼間)9349-1766(夜間)
1800-806-292(フリーコール)

 それぞれのサバーブにも類似のサービスがありますので、身近な相談機関として利 用できます。地元のCity Council から年1回各戸に配られるコミュニティー・ディ レクトリーのそうした情報が載っています。また、家庭内暴力一般及び近親相姦の問 題は下記のところで相談を受け付けてくれます。

Domestic Violence and Incest Resource Centre
住所:139 Sydney Road Brunswick
電話:9387-9155(昼間) 
1800-015-188(フリーコール)

 プライバシーを守り、日本語で気楽に話を聞いてもらえる窓口として、私共のホー プ・コネクション日本語電話相談も併せてご利用ください。月曜日から金曜日午前10 時より午後3時まで 017-874-824 にて受け付けております。

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こんな時どうする!不動産の賃貸借トラブル

 今回は、弁護士のTimothy McDonald氏にお願いし、不動産の賃貸契約、借りる と き、出るときの注意事項、又貸し、テナントの責任、家主の責任等々、ケーススタ ディを元に具体的に説明していただきました。  前半のケーススタディは日本語で、後半の質疑応答は通訳を交えて日本語と英語で 講義していただきました。資料も、Office of Fair Trading & Business Affairs発 行の最新版"Renting Statement of Rights and Duties"やCondition Receiptのサン プル、いざというときのクレーム機関の電話番号等が配布されました。会員の方から 「役に立った」という多くの感想をいただきました。ありがとうございました。

 McDonald 弁護士が色々なケースを元に作られたケーススタディを以下にご紹介し ます。


<ケーススタディ1>
日本人の友達同士3人でアパートを借りることにし、気に入ったので大家さんと数分 間面接をしました。しかし、経済的な状況を理由に断られてしまいました。その後、 不動産屋からの話では、申請を却下されたのはあなた方が日本人だからで、大家はア ジア人を好まないからだということでした。

<解決策>
1 一番簡単なのは、他のアパートを探すことです。人種差別の大家を持ちたい人は 誰もいないでしょう。
2 差別行為に関しては、ヴィクトリア州機会均等法違反ということで、大家から賠 償金を請求する権利があるかも知れません。この法律は、大家とテナントの関係な ど、様々な状況や関係における、様々な性質の差別をカバーするものです。もし、こ のようなことが発生した場合には、Equal Opportunity Commissionに知らせ、解決し ないときには弁護士のアドバイスを受ける方がよいでしょう。


<ケーススタディ2>
 さて、ようやくアパートを探し、入居しました。コンディションリポートにもサイ ンしましたが、それは紛失物、破損物についての記載が漏れていました。その上、ア パートに住んで3カ月後、それぞれの都合で契約期限の前に出ることになりました。 大家に報告すると、最後の6カ月分の家賃を支払わなければならないとのことです。 さらにアパートの破損と紛失物についても支払うようにいわれました。でもそれは入 居する前に既に破損・紛失していた箇所なのです。

<解決策>
 残念ながら、期間が定められた賃貸契約を結んだ場合、大家の同意なくして契約を 早めに終わらせることは出来ません。同意がないのであれば、テナントには契約が終 わるまでの家賃を支払う責任があります。もし賃貸契約の終了を早めたい場合には、 次の3つの選択があります。

1 大家の文書による同意をとりつける。
2 他のテナントに又貸しする。
3 Residential Tenancies Tribunalに申請する。

 この状況においても実用的な解決策は、アパートの又貸しですが、その場合には大 家の同意を得る必要があります。
 コンディションリポートに署名して承認した場合、紛失物の埋め合わせと破損の修 理がテナントの責任となることがあります、それゆえ不動産屋がくれたコンディショ ンリポートが正確ではない場合には、紛失あるいは破損している項目を自分自身で記 載してから署名する必要があります。また、それを大家に知らせます。アパートの修 理は大家の責任です。例えば、鍵が壊れているとき、自分で修理して請求書を大家に 送ることもできます。大家はあなたに経費を弁償しなくてはなりません。


<ケーススタディ3>
 何らかの方法で契約終了日を早めることが出来ましたが、大家は保証金を返してく れませんでした。そして、今回入居したアパートの隣人は同じくテナントですが、彼 らはゴミの出し入れも庭の手入れもしない上、来客が多く通路をふさいで車の出し入 れが出来ませんでした。今回の大家は予告もなく掃除夫をよこして合い鍵を使って入 り、掃除していきました。

<解決策>
1 今回の法改正で、保証金はResidential Tenancies Bond Authorityという第三者 の独立した組織に支払われるようになりました。保証金返却の際にはそこに自分で申 請するだけでいいのです。通常保証金は一ヶ月分の家賃と同じです。 2 隣人の件は、Body Corporate(管理組合)に相談してみましょう。このメンバー になるのは大家で、テナントではありません。隣人とも話し合ってうまくいかなけれ ば、
a) Dispute Settlement Centerの調停に行きたいか聞いてみる。
b) 隣人のアパートの持ち主に連絡する。テナントが地所を清潔にしているか、ま たドライブウェイの交通を妨げるなどの迷惑行為をしていないかを確認するのは持ち 主の責任です。  これでも解決しなければ、引っ越しを考えるか、または貴方に代わって介入しても らうよう弁護士に相談して下さい。

3 大家がアパートに入っていくことは出来ますが、最低一日前に予告しなくてはな りません。貴方には、「平穏所有権」があります。言い換えれば、アパートを平和に 使い楽しむ権利です。これにはプライバシーの権利も含まれています。

 このほかにも質問がたくさんありました。中には信じられないような話もあり、参 加者全員驚くような場面もありました。その中にいくつか参考になるものがあります ので、質問者のご了承を得て記載いたしました。


<ケース1>
 ルームシェアで、シェアメートの関係者が他のシェアメートのものを盗んでいま す。
<解決策>
 これは警察に届けるべきです。このパターンは大変よく耳にしますので十分注意し ましょう。


<ケース2>
 2年契約で、まだ1年以上残っているに、大家に「家を売るためオークションをす るのでインスペクションの時には家を空けて欲しい。売れたら、買い手によっては出 てもらわなければならないといわれました。

<解決策>
 契約は2年であるので、売れても出ていく必要はありません。その家の書いてはテ ナント付きで家を買うことになり、当初の契約通り条件を引き継がなければなりませ ん。インスペクションを拒否することは出来ませんが、インスペクションの際に盗難 にあったりしたときは、不動産屋の責任になります。家に入る予告は24時間前にさ れなければなりません。しかし、どうしてもわずらわしくて引っ越す場合、引っ越し 費用は原則として自分持ちですが、交渉次第では大家に出してもらえるかも知れませ ん。


問い合わせ先
賃貸借に関してトラブルが発生したとき、"Renting Statement of Rights and Duties"や各種クレームフォーム(書き込みをするだけで正式なレターが出来ますの で大変便利です。例えばテナントから家主に対する要求書、家主からテナントに関す る要求書等)を入手したい時
Office of Fiar Trading and Business Affairs
A Dvision of the Department of Justice, 2nd floor, 452 Flinders Street,
Melbourne 3000
Tel: 9627 6222 Free call: 1800 136 716
Fax: 9627 6223
Website: www.justice.vic.gov.au/OFTBA

差別に対するクレーム
Equal Opportunity Commission
380 Lonsdale Street, Melbourne 3000
Tel: 9281 7100 Free call: 1800 134 142

調停
Dispute Selement Center of Victoria
3/235 Queen Street, Melbourne 3000
Tel: 9603 8370 Free call: 1800 658 528
Fax: 9603 8355

問題がこじれた場合
Residential Tenancies & Small Claims Tribunal
55 King Street, Melbourne 3000
Tel: 9628 9800 Free call: 1800 133 055
Fax: 9628 9822

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家屋の賃貸借をめぐるトラブルの対処法 続編

 ホープコネクションニユースレター5号・8号では、家屋の賃貸権をめぐるトラブ ルを専門に相談業務を行っているTenants Union of VictoriaやOffice of Fair Trading & Business Affairsについて、また様々なトラブルのケースについでご紹介 してきました。今号ではエージェントや大家との「やりとり」の仕方、またTenants Union of VictoriaやFair Trading & Business Affairsの利用の仕方を、筆者の「あ あ、初めからこうしておけばよかった」という経験を交えながら、具体的に説明しま しょう。
 まず初めに、エージェントや大家にクレームをつける、質問がある、修理を依頼す るなど、何か連絡を取らなければならないときは、必ず日付、相手の名前(大家また はエージェントのレンタルマネージャー)自分のサインを入れた手紙にするというこ とです。その手紙のコピーをとるのも忘れてはいけません。そして、先方からの返事 あるいは要求も書面にしてもらうということです。電話でのやりとりでは何も証拠が 残らないので、後から問題がこじれたとき、「言った」「言わない」の水掛け論にな ります。大家に対しての正式な苦情をOffice of Fair Trading & Business Affairs に申請するにも、大家やエージェントとどのように交渉していたのか証拠を提出する ように言われますので、いざという時に書面になったものは大変役に立ちます。ま た、書面で交渉することによってエージェントや大家の違法行為を妨げることもでき ます。
 例えば、筆者の利用しているエージェントは電話で家賃の現金払いを要求してきま した。筆者はそれを手紙にしてくれるように頼んだのですが、レンタルマネージャー に"What are you talking about?"と言われ、全然相手にされなかったので、エー ジェントの要求を書面にして欲しいという要請の手紙を出しました。その後、数回に わたりエージェントのレンタルマネージャーから電話がありましたが、がんとして譲 らないでいると、従来のまま家賃の支払いは小切手でいいことになりました。後から 分かったことですが、エージェントや大家は家賃の支払方法をテナントに指定できな いそうです。エージェントや大家が書面に出来ないと言うことは何か違法行為を行お うとしている可能性があると言っていいでしょう。
 第2のポイントは、気長に待たないということです。例えば、修理の依頼の手紙を エージェントに出したとします。1週間待って何の返事もない場合、既に送った手紙 のコピーを添えて返事を要求する手紙を出しましょう。それから1週間ほど待って返 事がなければ、もう一度返事を要請する手紙を書くか、Tenants Union of Victoria やOffice of Fair Trading & Business Affairsに相談し、正式に苦情の申請をして もいいでしょう。Tenants Union of Victoriaで苦情申請の手紙の書き方が説明され たチラシがもらえます。また、Office of Fair Trading & Business Affairsでもら えるComplaint Formを使ってもいいでしょう。正式に苦情を申請すると、Office of Fair Trading & Business Affairsの調査員があなたの話を聞きに来ます。ちなみに ヴィクトリア州にはたった6人しか調査員がいないそうです。調査員には強制力はな いのですが、筆者のケースの場合はエージェントと大家が明らかにTenancy Actに違 反していたので、調査員がエージェントに電話し、話をつけてくれました。半年以上 に及ぶ筆者からの書面による要請は無視・u桙ウれていたのにも関わらず、調査員が 来た翌日にはエージェントからガス漏れも修理するし、契約書のコピーも鍵も渡すと いうファックスが入り、こんなことならさっさとOffice of Fair Trading & Business Affairsへ正式に苦情申請をするのだったと思いました。
 最後に、上記機関の利用の仕方についてふれておきましょう。メルボルンには、 Tenants Union of Victoriaのオフィスが4カ所あります。実際に利用して分かった ことですが、それぞれのオフィスによって対応の仕方が違うということです。筆者は それぞれのオフィスに全く同じ文面で相談の手紙を書きました。ところが、返事をく れたオフィスは2つだけで、初めに返事が来たオフィスの手紙には手紙を書いた人の サインがあり、筆者の相談に対して懇切丁寧に説明してくれていましたが、もう1つ のオフィスから来た手紙は、大家がTenancy Actの何条に違反しているのかが箇条書 きにされているだけでした。もちろん、手紙を書いた人のサインもありません。その 時、オフィスがどれだけ忙しいか、あるいはどの相談員が手紙を書いたかにもよると 思いますが、どのオフィスからも同じアドバイスが受けられるわけではなさそうで す。Tenants Union of Victoriaのオフィスに行って相談員から直接アドバイスを受 けることも可能ですし、Office of Fair Trading & Business Affairs でもカウン ターでアドバイスを受けることもできます。筆者はTenants Union of Victoriaのオ フィスには行かなかったのでよくわかりませんが、Office of Fair Trading & Business Affairsの方は予約も要らず、相談にいくらでも時間を割 いてくれます。相談に行くときは自分の出した手紙、相手から来た手紙、領収書、契 約書など全ての関係書類を持っていきましょう。

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恒例となった新人生活講座 (カルチャースクール紙上レポート)

 去る5月8日(土)に,ホープコネクション恒例の「メルボルン新人生活講座」が開催されました。今回は広告期間が短かったためか,昨年よりは小人数となりましたが、各種の質問が飛び交い、つつがなく終わりました。

 この新人生活講座は,新たにメルボルンで生活をはじめた方々のために必須で便利な情報を提供して早くこの都市に馴染んでいただくために、ホープコネクションの設立時から催している講座です。今年は次のような内容で進行しました。

1. 通訳サービスについて :利用すると便利な事項、  

 場所、サービス機関名、連絡先など。

2. メルボルンの公共交通機関について :Met につい

 て、切符の買い方、電車の乗り方、切符の種類、注 

 意事項など

3. Yellow Pages, White Pages, Melway, Community

 directory の利用方法、内容、便利な使い方入手方法

 など

4. 日本語情報誌/日本語放送のご紹介: 各情報誌の

 入手法、放送時間など

5. 住居あれこれ : 貸家の探し方、契約、契約解除、

 トラブルの相談機関など

6. 銀行とクレジットカード の話:銀行口座、各サー

 ビスの内容、クレジットカード利用法など

7. 医療について :医療機関、予防接種など

 

 それでは、そのうちのいくつかをご紹介します。

【銀行の話の中から】 オーストラリアの銀行口座には、日本の銀行にはない手数料の制度や入出金のたびにかかる税金が適応されています。そのため注意しておかないと、銀行に預けたお金が増えないばかりか逆に減ってしまうことにもなりかねません。預金の利子を当てにできなくなった昨今、銀行側も消費者に申し訳ないと思うのか、手数料や税金を節約する方法を下記のようにアドバイスをしています。

・銀行手数料、税金を節約する方法 .テレフォンバンキングやインターネットバンキングを使う。(注1)

・口座やクレジットカードから自動引き落としを使う。

・スーパーで買い物したときにEFTPOS システムを利用し、一度に買い物と出金をする。(注2)

ATMで少額を何回もおろすのではなく、ある程度の金額をおろし、回数を減らす。

・小切手をきるとGoverment Debits Tax がかかるので、振り替えの時などは小切手はきらない。(注3)

・毎月一定金額を無料で口座から口座へ振り替えてくれる自動振替を利用する。

・請求書をクレジットカードか BPAY で払う。(注4)

ATM を利用する.

・給料を自分の口座に振り込んでもらう。

・自分の口座とクレジットカードを連携させる。

・残高が手数料不要の範囲内か常にチェックしておく。

(注1)銀行に登録することによって、自宅の電話やコンピューターを使って銀行取引ができます。

(注2)スーパーマーケットなどでキャッシュカードで支払うと同時に出金もできるシステム。"Extra cash?"とか、"Cash out?" とよく聞かれます。

(注3)小切手は現金化するまで時間がかかるので注意する必要があります。

(注4)クレジットカードは入会金が必要ですが、ポイント制もあったり、身分証明にもなる場合があるので便利です。BPAY は、請求書を出す会社と提携した銀行が、貴方の銀行口座から請求金額を引き落とします。両方とも電話で支払いができます。

 

【電車・バス・トラムの利用,乗車券などについて】

・トラム内ではコインでしか乗車券が買えません。小銭の用意をお忘れなく。

・乗車券購入の自動販売機は20ドル札以上の紙幣はうけつけません。乗車券不携帯の場合、見つかると100ドルの罰金が科されます。あらかじめ Met ショップ・ニュースエージェンシー・有人駅などで買っておかれることをお勧めします。

・たまに自動販売機が壊れていて購入できない場合があります。下車駅で駅員に説明してその場で購入して下さい。その際どの駅の機械が壊れていたのかはっきり言いましょう。万一罰金を科せられるような事態になった場合、書面にて不服申し立て(Appeal)をすることもできます。

・自動販売機からお釣りが正確にでないこともあります。たった10セントや20セントのことであっても、苦情を言い書類を書いて10セント小切手を受け取った人の体験が最近新聞の読者欄に載ったこともありました。消費者の権利またサービスの向上のためには、こうしたささいな問題も指摘することは大切かも知れません。

・お得な乗車券・・・ゾーン1の10回の回数券(2時間券)は、大人で19.50ドルですが、利用の仕方によっては、1日券を5回分買うより(4.40 x 5 = 22.0 )2.50ドルの節約となりカプチーノ1杯分が浮きます。またゾーン2及び3からゾーン1まで乗車する場合、オフピーク乗車券がお得です。午前9時半から4時までおよび午後6時以降に乗車する場合この券が使え、例えばゾーン1&2の通常料金は 7.10ドルですが、オフピーク券ですと 5.30ドルになります。

・夜間乗車の際は安全を考え、運転手の近くに座りましょう。

Met のヘルプラインは、1800-652-313 です.乗車券、タイムテーブル、その他の問い合わせ、苦情はここに連絡して下さい。

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いたずら電話対処法

 テルストラに"Unwelcome call"というセクションがあるのをご存知でしょうか。"Unwelcome call"とはまさしく、いたずら電話のこと。筆者も自宅にいたずら電話がかかって来始めるまで、テルストラにそんなセクションがあるとは全く知りませんでした。ここでは筆者の経験を通し、"Unwelcome call"のセクションのお話をしましょう。

 筆者の自宅にいたずら電話がかかり始めたとき、私はまずテルストラに電話して事情を話しました、もし、電話番号を変えたければ、今すぐ無料で変えてくれると言われましたが、私はいたずら電話の相手が誰かを突き止めたかったので、逆探知が出来ないかどうかオペレーターに聞いてみました。逆探知は可能ということでしたが、それをするにはまず、いたずら電話の苦情を書面にして、1800-808-189にファックスしなければならないと言われました。2、3日以内に"Unwelcome call"セクションの方から電話があり、いたずら電話がかかってきたときにどうしたらいいか教えてくれるとのことでした。私は日中、留守勝ちなので、私から電話したいと言ったところ、"Unwelcome call"セクションの方からしか連絡はしないそうで、しかも午前8時から午後5時までの間ということ。そこで、私は"Unwelcome call"セクションが昼間に連絡できる電話番号と時間帯もファックスに書いて送りました。私の場合は次の日に電話があり、オペレーターから次のような指示を受けました。電話を切らずに指定された番号を押す。そして「ピー」という音が聞こえたら、"Telstra, this is a call I want to trace."と言って指定された番号を押し、電話を切る。これが効かなかったら、またテルストラに電話するように言われました。ちなみにこのシステムは"blussing"と言うそうです。私の電話はタッチホーンではなかったため、このシステムが使えず、すぐにテルストラに相談の電話をしました。すると今度は私の電話の回線に操作をしてくれたようで、今度いたずら電話がかかってきたら、相手が切るまで受話器をそのままにしておくように言われました。相手が電話を切ってから、テルストラに電話し、いたずら電話がかかってきた日と時間を言うと、"Unwelcome call"セクションがその電話の番号を調べてくれるそうです。いたずら電話の相手が分かったら、いたずら電話をかけるのに使用されている電話の持ち主(Account Holder)にいたずら電話を止めるように手紙が郵送され、私には向こうに手紙が送られたというお知らせの手紙が来るそうです。プライバシーの保護の問題で、いたずら電話の相手が誰なのかは教えてもらえないということでした。その後もいたずら電話が続く場合は、警察が介入してくるそうです。筆者の場合は家を引っ越したため、いたずら電話の相手を突き止めるまでに至りませんでした。

 ここでは筆者の体験を書きましたが、もっとたちの悪いいたずら電話には別のサービスがあるかも知れませんので、いたずら電話にお困りの方はテルストラに電話して相談してみましょう。また、オプタスを利用されている方でいたずら電話にお困りの方は、オプタスに類似のサービスがあるかどうか聞いてみましょう。

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争い事・法律問題相談機関

 争い事は社会生活に付き物です。当事者同士が円満に解決すればそれに越したことはないのですが、この複雑な社会機構の中、また私たち日本人にとっては、文化的違いからくる新しい土地での習慣、ルール等に馴染めないためにささいな争い事にも過度に反応してしまいがちではないでしょうか。このようなときは、一人で悩んだり、泣き寝入りしたりせず公的サービス機関に相談すると意外にスムーズに解決する場合もあるはずです。

 争い事と一口にいいましてもその範囲は他愛ない口喧嘩から、法廷で争わねばならないことまでそのレベルは様々です。Dispute Settlement Centre of Victoria, 3/235 Queen Street (phone: 9603-8370) は無料で、法廷まで行く必要のない比較的単純な問題の相談に応じ、仲裁をしてくれるところです。ペット、騒音、垣根、器物損傷、樹木等をめぐる近所とのトラブル、家庭内での争い事、職場、組織、クラブ内でのメンバー同士の争い事などを扱ってくれます。仲裁者は経験豊かな専門家で、個々のケースの秘密は厳守されます。

 ではもう少し複雑なケースの場合はどうしたらいいのでしょうか。一般的には弁護士に相談することになりますが、適切な料金で、信頼のおける弁護士を探すこともなかなか大変なことです。有能といわれる弁護士でも自ら刑事裁判の被告になることもある世の中ですから、口コミが案外頼りになるかも知れません。しかし一般的に日本人は弁護士を雇うことに慣れていませんので、まず無料法律相談所(Community Legal Centre)を利用してみましょう。不当な差別、離婚などの民事的問題は、これらの相談所には相当の蓄積があり、親切なアドバイスがもらえます。相談所はヴィクトリア各地にあり、相談受付時間、予約の要不要、また得意な分野などがいくらか異なっておりますので、まず電話で確認なさってみて下さい。通常各行政区(City Council)が発行しているCommunity Directoryなどにそれらの情報が載っていますが、ちなみにCity近郊の2カ所のセンターをご紹介しておきましょう。

 Footscray Community Legal Centre:

220 Nicholson St. Footscray (9680-8444)

 Fitzroy Legal Service:

124 Johnston St. Fitzroy (9419-3744)

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アロマセラピー

アロマセラピスト 古川玲子

 アロマセラピーとは日本語で芳香療法と訳されていますが、エッセンシャルオイル(植物の一部または全部を蒸留して水と分離させた上澄み液、植物の成分が濃縮されている-精油)を使った治療法のことを言います。マッサージ、入浴、吸入、直接療法、香水、飲み薬(フランス)などのほか、ポプリなど日常生活の彩りとしても使われます。

 エッセンシャルオイルの歴史は古く、エジプト時代のミイラの防腐剤としても使われていました。14-17世紀には、トイレのなかったヨーロッパでは排泄物を毎日窓から路上に捨てていましたので、悪臭が漂い、伝染病が数年おきに流行し、多数の犠牲者が出ていました。そこで、病院や街では抗菌、殺菌作用のあるローズマリーなどのハーブを焚いて空気の清浄化に努めていました。また、入浴の習慣がなかったので、体臭を消すためにエッセンシャルオイルをブレンドした香水をつけていました。ちなみに、香水職人には、伝染病にかかった人がほとんどいなかったそうです。

 エッセンシャルオイルの原料は、中国、アジア、中近東の原産も多く、エキゾチックな香りとして珍重されていた他、民間療法として病気の治療にも使われていました。現在のようなエッセンシャルオイルの蒸留法を発明したのは、10世紀末の、ペルシャ人の天才医師アウイセンナでした。彼は、100冊以上の医学や薬学の本を書いています。

 アロマセラピーという名が用いられるようになったのはフランスの香料会社の科学者だったガットホセの体験からです。ある日、研究中に事故で大やけどを負い、手じかにあったラベンダーのオイルの中に手を突っ込んだところ、たちまち痛みがとれ、傷跡も残らず治癒したことから研究を始め、それを科学論文で「アロマセラピー」と言う用語で発表したのです。

 アロマセラピーは日本人にとって全く馴染みの薄い物と思われがちですが、お香やお線香などの原料が洋風の名前に変わってエッセンシャルオイルになっているものが少なくありません。いくつかを例にあげると、白檀はサンダルウッド、紫檀はローズウッド、乳香がフランキンセンス、安息香がベンゾインといったところです。 エッセンシャルオイルはその化学成分によって麻酔作用や、抗バクテリア作用、瘢痕形成作用といった効用とともに、お香に求められるような精神的な作用も期待できるのです。実際に、エッセンシャルオイルを使わないマッサージと、オイルを使ったマッサージでは後者の方がずっと良い結果が出ている例が多々あります。そこで、今では病院などでアロマセラピーを取り入れるところが増えてきました。

 また、臭覚は第一感覚でありますので、病気の場合はともかく、年齢を重ねても他の器官に比べて衰えが緩慢です。子供のころ特定の匂いを嗅いだ経験を思い出したりすると、閃光のように記憶が蘇ることがあります。そこで、最近では、痴呆症や、記憶喪失の治療にこの特性を利用する研究が行われています。私のリサーチでは、出身国によって、文化や生息する植物の差から好みが違っていることがはっきりしました。 西洋人は日本人には強すぎると思われる花の匂いやエキゾチックな匂いが非常に好きなのです。ですから西洋の香水は、強くて、甘い香りがするものが多いのです。ちなみに、動物にはエッセンシャルオイルの匂いは人間の何倍も強く感じます。警察犬のように人間の感じない匂いを嗅ぎ分ける動物は、オイルは強烈過ぎて、狂ったように暴れまわることがあります。使う場合には、ごくごく薄めて使ってください。

 さて、ご自分で簡単にできるトリートメントをご紹介しましょう。まずは、好きなオイルを使って楽しんでください。体の調子によって好みに変化が出る場合がありますので、不快を感ずる場合は体が欲していないということなので、やめたほうがいいでしょう。専門家でない人は、1%以下に薄めた方が無難です。目安は、1mlは20滴から40滴くらいと覚えていてください。滴数の差は、ドロッパーという内蓋の大きさによります。マッサージオイルをお猪口一杯分で約20mlとして4-8滴と思えばいいと思います。専門家はその人の具合とオイルの種類によって5%くらいまで使用することがあります。

<自宅でできるトリートメント>

1) アロマバス

エッセンシャルオイルを3-4滴、牛乳や蜂蜜などで薄めていれます。ほのかな香りがリラックスさせてくれます。

2) 吸入(バーナー または スチーム)

バーナーに3滴ほど入れて芳香させます。アロマタイザーは便利です。スチーム吸入はボールに熱めのお湯を入れ、オイルを3-4滴おとし、頭からタオルをかぶって吸入します。咳や呼吸器のトラブルに最適です。不眠の時など枕などに1滴落とすこともあります。

3) 直接療法

ラベンダーのようなマイルドなオイルをけがの手当てにつける方法です。

4) マッサージ

20mlのベースオイル(コールドプレスの植物油、スウィートアーモンドオイルなど)に4-8滴くらい。この量で体全体ができます。手足だけでしたら、半分で十分です。ご家族で交代で行うと良いと思います。とはいっても、マッサージは専門家にしてもらうのが一番でしょう。

<注意事項>

*エッセンシャルオイルは強いのでラベンダー以外は原液を直接肌につけないほうが安全です。しかし、虫さされなど、ごく小さい範囲でならば、アレルギーや、肌の弱い人以外は大丈夫です。

*妊娠中は避けたほうが良いオイルがありますので、アロマセラピストに相談してください。

*かんきつ類は感光性がありますので、4時間くらいは日光にあたらないようにしましょう。

*皮膚炎、癲癇などには避けなければいけないオイルがあります。

*ご自分では絶対に飲用しないでください。

<便利なエッセンシャルオイル>

ラベンダー(Lavender)

精神安定、疲労回復、消炎、鎮痛、抗痙攣、瘢痕形成、殺菌

ローズマリー(Rosemary)

鎮静、頭脳明晰、消炎、鎮痛、抗痙攣作用、強心、殺菌、殺虫、 収斂

レモン(Lemon)

鎮静、抗痙攣、瘢痕形成、強壮、血圧降下、利尿

ジンジャー(Ginger)

鎮痛、抗痙攣、抗バクテリア、強壮、頭脳明晰、活発化、消化

ユーカリ

リフレッシュ、集中力、鎮痛、抗炎症、抗痙攣、去痰、利尿、抗バクテリア、

ゼラニウム

バランス(女性ホルモン、精神的)瘢痕形成、利尿

サンダルウッド

精神安定、抗痙攣、皮膚軟化、利尿、去痰

ペパーミント

リフレッシュ、冷却、鎮痛、抗痙攣、駆風、去痰、月経促進、胃痛、

オレンジ

精神安定、活力、消化促進、抗痙攣、抗バクテリア、胃痛、強壮

ジュニパー

浄化、活力、抗バクテリア、抗リュウマチ、解熱、利尿、強壮

イランイラン

精神安定、高揚、催淫、血圧低下、抗バクテリア

 このようにアロマセラピーにはいろいろな特徴があります。 特に精神的なトラブルが肉体的なものと重なったとき、たとえば、仕事のストレスでひどい肩こりに悩まされたり、気分が落ち込んでいるときなどは、芳香とオイルの作用とマッサージで、肉体的にも精神的にもずいぶん楽になります。楽になるとおのずと力が沸いてきますので、回復が早くなると言うわけです。

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電話トラブル こんな時は…

 電話代に関して、家族内または、シェアメートともめたことがありませんか?自分はこんなに電話をかけたつもりはない、誰がいつかけたのかわからない、そんな問題でお困りの方、テルストラの"Local Call Details Itemisation"というサービスをご存じでしょうか。このサービスを使うとすべてのLocal callの詳細が請求書に記載されます。筆者が4人で家をシェアしていた時は、電話をかけたときに、それぞれが最後の4桁を電話の記録表に書くようにして、"Local Call Details Itemisation"を併用したら、それまで100件近い、不明のLocal callの数がほとんどゼロになりました。電話番号を書き忘れたとしても、その電話番号がかけられた日にちと時間も請求書に記載されるので、その日のその時間に誰が家にいたのかから、電話をかけた主を絞ることができました。また、過去の請求書からその電話番号にかけたのは誰なのかも判定することができるので、毎月嫌な思いをすることなく、電話代を清算することができるようになりました。ちなみに"Local Call Details Itemisation"の使用料は毎月3ドルです。Locall callに他の電話会社をお使いの方は、類似のサービスがあるかどうか、お確かめ下さい。

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通訳サーヴィスについて

まず連邦政府の年中無休24時間の電話通訳サービスを紹介します。

TIS (Translating and Interpreting Services)

電話 13 1450

ビジネスアワー $10

時間外 $16

 話したい相手の電話番号と名前を前以てご自分で用意してください。以前は公の機関に電話する場合のTIS使用料は無料でしたが、現在はそうではありません。しかしながら相手側が通訳料を負担する場合もあります。相手側の予算とタイミングにもよるため、どの会社が負担するかは一概には言えません。TIS の担当者によればGPなどのメディケア関係は相手持ちのことが多いとのことです。民間の通訳会社より格段に安いのですが、交換手が出るまでかなり待たされます。交換手に日本語通訳が必要である旨を告げ、さらに日本語通訳が電話口に出るのを待つため時間がかかることは覚悟してください。また通訳を常に提供できる保証はありません。

 支払いはクレジットカード、小切手、マネーオーダーが使えます。価格は6月以降変わる可能性があります。TISは翻訳サービスも行なっていますが、こちらはすべて有料です。

 待ちたくない場合、どうしても通訳が必要な場合、ご自分で通訳を同伴しなくてはならない場合は民間の通訳会社を利用します。 イエローページ、ドーモで探すことができます。

 政府関係のサービスにおける通訳は無料の場合がほとんどなので、自分から申し出てください。例えば、警察に行ったり、病院に行く場合は予約の電話を入れる際に同時に通訳も予約するようにしてください。自動車免許試験、公立病院、センターリンクなど無料通訳サービスを依頼できる公の場はたくさんあります。

<注意する点>

1. 通訳と翻訳は別のサービス

証明書など文書は翻訳サービスへ依頼します。通訳に書類などを読んでもらうことは原則的にできませんが、例外に運転免許試験があります。この場合は英語で書かれた試験問題を日本語に訳して口頭で読んでもらうことができます。

2. 自分から要求すること

相手からわざわざ「通訳が必要ですか」と尋ねてくれることは稀です。自分から申し出ましょう。

3. 通訳者はアドバイザーや代言人ではありません

先に自分の考えをまとめて、あるいは専門家と相談しておくことが必要です。

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カルチャースクール紙上レポート:

メルボルン「車生活あれこれ」

吉澤ドライビングスクール 吉澤通明

 第18回カルチャースクールの内容を講師の吉澤通明氏よりの寄稿でご紹介します。

***

天国と地獄

 メルボルンは、世界で一番生活しやすい都市に過去選ばれていますが、その条件の項目に「車での生活がしやすい」事が掲げられています。それは、渋滞がないことや車でのショッピングの際に駐車がし易いことなどです。逆にいうと、車がないと不便な都市ということになります。

 オーストラリアに生活する方々の中には、駐在、学生、永住いろいろな条件の方々がいますが、テーマに沿って考えると、運転の得意な方と運転の苦手な方(免許の有無に関わりなく)に大別できると思います。ある意味「運転が得意な人には天国」「運転が不得手な人には地獄」という事になります。

信頼の法則・疑いの法則

 信頼の法則・疑いの法則とは何かと申しますと、交通ルールの成立に基礎的な考え方の違いを見出しています。その違いについて例をあげてみましょう。

 まずは、日豪の考え方の違いですが、社会的な背景として「指示を待つ」傾向性のある日本と、「自らの意思を実現する」傾向性の強いオーストラリアです。

 次に道路交通法の成り立ちの違いです。日本は、ある程度成熟した車社会の考え方を輸入したところがあります。それは馬車から自動車の始まりという歴史的な変遷を経験していない点にあります。

 ここで多くを語るスペースはありませんが、必要性に応じてルールを作っていった欧米(豪州も含む)、そしてそのルールを輸入した日本。といった形になると思います。

 次が「契約の思想」です。日本では、出会い頭の事故などに関して、どちらがどこまで出ていたかなどと細かなところまで現場検証することと思いますが、こちらでは、そう言った際、どちらが譲るべきであったかが問題視されます。「交通ルールは契約」という発想に基づきます。

 その契約の内容は、「優先順位の考え方」に大きく現れます。例えば、STOP や GIVEWAY の標識に面した人は、交差点を出るまでその義務を課されている(豪州)事になります。それは、「ここまで出ていたから」(日本)という判断の規準が入る隙はありません。

 さらに、国土の広さが違います。日本のように道路にペイントをたくさん使うことができません。センターラインなどが書かれていない所でも、ないわけでなく、あるという前提でルールができています。ペイント代の節約をしているわけです。そこでは、運転を希望する人の責任が多く問われています。

 後は紙面の許す限り、箇条書きに説明します。本来はスライドの説明である点ご了承下さい。

1、道路の特徴:センターラインの有無、道路標示があるとは限らない。

2、停止線の位置など:交差点におけるギブウェイの破線の位置などが日本と違う。

3、路上駐車の許可:路上駐車は「いる」という前提で運転をした方がいい。駐車中の車などのドアは、日本のように後続車に気を使いながら開けることはほとんど無いので、ドアの開閉距離よりも近く通過することは避けた方がいい。

4、レーンの使用:キープレフトが原則になっている。3レーン以上ある場合、真中のレーンを使うと一番安全。信号などでは、このレーンが一番混んでいる可能性が高い。時間を惜しんで運転するというよりも、楽に運転する事を優先している。

5、制限速度の違い:住宅街は50Km制限、全般的に車の速度は速い。

6、スリップレーン:信号に関わらず進行できるが、例外的にスリップレーンを対象とした信号があるので注意が必要。歩行者には譲る義務がある。

7、 自転車レーン:左折、駐車などのために手前50m使用することは許可されている。自転車は日本(軽車両)と違い車両としての義務と権利を与えられている。

8、レーンチェンジ:初心者に対する教習として、ルームミラーの確認、方向指示器、肩越しの死角確認が徹底して義務付けられている。

9、ミラーの違い:オーストラリアの法律では、ミラー類は平面鏡を指定しています。日本のそれは凸面鏡であることが多く、視界の広さを重視しています。ここでは、距離感を重要視しています。

10、右折:右折時にレーンの指定がある場合、指定を守る。

11、右折の信号待ち:右折時に交差点の真中で信号が変わるまで待つ時がある、日本ではその際なるべく前に出てハンドルも切って待つ。ここでは、この動作は自殺行為として非常識な運転となる。対向車にとっても追突を受けた時に対抗車線に突っ込んでくる恐怖を持たせることになる。(日本の常識は時として、ここの非常識になります)

12、左折:左折時も同様

13、Uターン:日本は、基本的にUターンは禁止されていますが、ここでは基本的に許されています。出来ないところが指定されています。Uターン禁止、右折禁止など。

14、矢印の信号:日本と違い矢印の赤があるので注意。前方の信号が青でも矢印の方向が赤であれば、その方向には進めない。信号無視となる。

15、信号への対処の仕方:信号の間隔、その距離など日本と違い青信号を警戒することが必要、信号のある交差点に到達する時点で黄色及び赤に変わる可能性を警戒することが大切。停止距離を念頭に置き、停止のために必要な距離が無くなってから通過を決定するべき。

16、信号の種類:交差点の信号、又は横断歩道の信号の識別を怠らないことによって、信号が変わるタイミングをつかめる。

17、先を良く読むこと:大型車は20秒先を考えながら運転する必要があります。せめて4秒先ぐらいは普通車でも読めるようにしていきたいものです。

18、 急がないこと:信号などを含めて基本的に急ぐ運転をしないことが交通事故を起こさないコツ。その上で相手が突っ込んでこないかどうかを警戒しながら運転するぐらいのつもりなら、自分から事故を起こすことはまず無くなる。相手に急ブレーキをかけさせると、相手がかけなかった時に事故になっています。相手によけさせる運転をすると、相手がよけなかった時に事故になっています。相手に決して自分の身をゆだねない事が、自分の身を守るこつです。そう言う意味で「疑いの法則」で運転して下さい。

19、信号での停止位置:先頭の場合停止線を越えないことが大切なのは勿論のこと、停止車間距離は日本よりも広く取ることが一般的。万が一、前の車が立往生してもハンドル操作で避けられることを、準備した方がいい。

20、車線の増減:時間帯制限などの例外を除き、左側のレーンが増減していると思った方がいい。信号の時間の長さなども影響し、信号の直前で車線を増やし、直後に車線を減少させている。フリーウェイの合流などの原理で一貫されていると思った方が正解だ。

21、意思標示 :レーンチェンジなどですぐにチェンジできない時、日本ではキャンセルしますが、ここでは方向指示器は出し続けた方がいい。意思表示をキャンセルするとチェンジする意思の放棄になる。察してくれることは無いので、チェンジしたい意思は伝えなければならない。安全にチェンジできるまで待てばいい。

22、右方優先 :標識で制限されていない交差点では、右から来る車が優先される。車線の増減やランダバウトと合わせ、基本的に右にいる人を優先させるという感覚の方が道路上ではしっくりと来る。

23、標識:標識はその形からして法律上区分されています。八角形‐STOP、逆三角形‐GIVEWAY、ラウンダバウト、ひし形‐注意標識などです。自分が標識に面していない場合、相手が何の法律に面しているか裏から見ても判断できるようにしておきましょう。いざという時に相手の違反を指摘することが出来ます。

24、方向指示器:日本では方向指示器が出ている場合、出している車がその方向に行くという前提で運転できる。いわば「信頼の法則」が成り立つ。相手のドライバーも日本人である可能性が99%といっていい。しかしここでは、相手は日本人である可能性は99%無い。方向指示器を信じて行くと、裏切られた時に自分が悪いことになってしまう。方向指示器通りに行かないと思って疑ってかかった方が正解だ。

25、標示の無い交差点:日本と違い道路上のペイントがあまりない。交差点の中心に日本の道路上に書いてある◇マークをイメージしてその右側を通過するようにすると、右折車が相互に、法律上通過する地点を通過できる。ただ、相手が法律を守ってくると思っていくといつか裏切られる。その時はぶつかっている可能性が高い。

26、車線区分:レーン標示が無い場合でも道路の幅が充分な場合2レーンという認識で使い分けた方が安全、法律はそれを要求している。

27、歩行者:歩行者に対する優先事項は日本と違いあまり無いが、右左折をする場合譲る義務がある。逆にいうと直進車は歩行者に対して譲る義務が無い。

28、横断歩道:日本の横断歩道と違い、渡ろうとする人を探して、譲ろうとして行く方が、こちらの人と同じ運転に近くなる。ここでは、「歩行者は神様だ」と思っていた方がいい。

29、踏み切り:踏み切りは日本とは違い無条件の一時停止はしなくてもいい。むしろしない方がいい。追突される危険性の方が高い。踏み切りに GIVEWAY 及び STOP サインが立っている場合、その法律に従います。

30、学童横断路:ここでは横断歩行者に譲るという感覚ではなく、横断し終わるまで止まっているという動作が必要。歩行者の後ろを抜けて行くこと自体が違反。

31、ラウンダバウト:日本と違い、交差点の真中に島を作り、交通整理している。信号は、車を止めて交通整理しているが、ここでは必要以外止まらないこと。歩行者に譲る義務は右左折者に対しても無い。

32、トラム:トラムは基本的に神様だと思って、邪魔をしないこと。邪魔をしなければ右折やUターンはある程度自由に出来ます。時間帯の制限に注意すること。黄色線の種類にも注意して、朝夕の時間帯制限を確認すること。黄色の車線区分はフェアウェイルールといってトラムに関するものです。

33、縁石の黄色線:駐車が禁止されているという意味です。

34、レーンチェンジ:交差点内におけるレーンチェンジは、日本では禁止だ。ここでは明文化された禁止規定は無い。しかし、しない方が安全だ。日本と同じだと思っていた方がいいが、それでも必要な時は気にしないで実行しよう。

35、フックターン:トラムの通行を邪魔し無いように、右折車が左から次の信号を待って右折します。

36、チャイナタウン:歩行者天国だと思っていた方がいい。

37、マイヤー :横断歩道、歩行者の動きから心理を観察するといい。

38、市内の通行:トラムのある場合、直進は右、右左折は左側を走ると正解。

39、トラムレーン右折:フックターンの標識がない場合フックターンできない。

 以上ちょっと尻切れトンボのような形になりましたが、各項目をもって内容を把握してください。

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安全な生活を送るために メルボルン総領事館 領事 天野行哲

 皆さん、メルボルンは日本と比較して治安がよいと思いますか?悪いと思いますか?オーストラリアの中でもメルボルンは特に治安の良い都市と言われています。しかし現実には、強盗、窃盗等の事件は日本とは比較にならないほど多く発生しています。今回は、特に日本人が被害に遭いやすい犯罪について、その発生状況と防犯対策について、触れてみたいと思います。

まず、置き引きについてお話ししたいと思います。

 メルボルンやアデレード市内のレストラン内で、バッグ類を足下に置いていたり、椅子に掛けていて、バッグごとあるいはその中の財布を盗まれるケースがよく発生しています。また、ホテルのロビーでチェックインチェックアウトの際、カウンターの上や足下に置いていたバッグを盗まれる事案も発生しています。メルボルン空港の国内線の手荷物検査場では、見知らぬ男に声を掛けられ、気を取られている隙に、その共犯者に検査を終えたバッグを盗まれる事案も発生しています。置き引きの被害に遭わないためには、・貴重品の入っているバッグから絶対に手を離さないこと、・必要以上に現金を持ち歩かないこと、・旅券、現金、トラベラーズチェック等大事なものは分けて携行すること、等の配慮が大事です。また、手荷物検査場といえども自分の荷物から絶対に目を離さないことが重要です。

次に車上狙いについてです。

 この被害については、時間帯、場所に関係なく被害にあっています。特に座席の上など外部から見える場所に、バッグや携帯電話をおいていてバッグごと盗まれる事案が多く発生しています。この犯罪に対処するには、・貴重品を車の中におかないこと、・外部から見えやすい場所に荷物をおかないこと、等の配慮が必要です。また、車両の盗難を防止することと併せて、人気のない路上、駐車場に車を止めることも避けて下さい。もちろん車を離れるときにドアをロックすることは言うに及びません。

三つ目は侵入盗についてです。

 侵入盗の被害には、特に一戸建ての個人住宅がよく被害にあっています。深夜のしのび込みと昼間の空き巣が多く、窓ガラスを割ったり、鍵を壊したりして侵入するケースが多いようです。メルボルン総領事館が管轄するヴィクトリア、南オーストラリア、タスマニア州では、いずれの州も事件発生後30日間以内の検挙率は7~8%と低い数値を示しており、盗まれたものはまず戻ってこないと思って間違いありません。この犯罪に対処するためには、・こまめに施錠すること、・ドア、窓など侵入しやすい箇所には複数の鍵を取り付けること、・鍵は入居後、あるいは紛失したときなどは取り替えること、・鍵の管理を徹底すること。植木鉢や庭石の下に隠したりすることは絶対にやめる、等が重要であり、出来れば警備機器を設置するなどの配慮が必要です。また、かかってきた電話には先に名乗らない、旅行等留守中の防犯をお願いできる隣人を作ることも重要なことです。

四つ目は自動車盗についてです。

 被害場所を見てみると一番目が道路上、二番目が車庫のない住宅で発生しています。盗難対策のされていない中古車や高級車が被害を受ける傾向にあります。侵入盗と同様に、事件発生後30日以内の検挙率は各州共に10%以下で、特にタスマニアは約3%と極めて低い率を示しています。自動車盗の被害に遭わないためには、・できる限り人が管理している駐車場を利用すること、・管理者がいる駐車場が見つからない場合は、できる限り明るいところに車を止めること、・短時間であっても駐車中は必ずロックすること。、・住宅を選ぶ場合には、必ず車庫の備わった住宅を選ぶこと、が必要です。

五つ目は詐欺についてです。

 メルボルンでは、Fという偽弁護士に大勢の日本人が金銭を騙し取られています。この男は、自ら弁護士を名乗り、事実弁護士事務所の一室に自室を構えていたため、誰も偽弁護士とは気づきませんでした。被害者の多くは、契約書の内容を十分に確認せずにサインをしてしまったり、領収書を受け取っていませんでした。

 また、シドニーでは中国系シンガポール人(Jeffrey Weng Keong China)による日本人女性を対象にした寸借詐欺事件が連続して発生しています。中には300万円騙し取られた女性もいるようです。この男は、一度は逮捕されたもののすぐに保釈となり、現在行方をくらましていますが、無類のギャンブル好きのため、カジノのある都市が活動拠点になることは間違いなく、メルボルンは特に要注意です。

その手口は、独り歩きの女性に親切めかしに近づき、親しくなると「お金を無くして困っている。すぐに返すから貸して欲しい。」等と同情を誘って次々とお金を騙し取るというものです。いずれのケースもすぐに人を信用してしまう日本人の隙を狙ったものといえます。

 詐欺の被害に遭わないためには、オーストラリアは他の西洋諸国と同様に契約社会であることをまず肝に銘じるべきです。口約束は絶対に信用してはいけません。その上で、・必ず文書(契約書)にし、納得した上でサインするとともに、領収書は必ずとること、・どんなに相手に急かされても一度契約書を持ち帰るなど契約内容を十分に確認する余裕を持つこと、が重要です。一度サインすると取り返しがつきません。

また、「お金を落とした、無くした。」というのは100%嘘と思って下さい。はっきりNOと断りましょう。・独り歩きは極力避けること、・人を簡単に信用しないこと、・なれなれしく近寄ってくる人には特に注意すること、等が必要です。

六つ目は強盗についてです。

 各州とも路上強盗が全体の40%を占めています。特にヴィクトリア州では、刃物などを用いた武装強盗が著しく増加しています。

 南オーストラリア州では、日本人男性が車で旅行中親切心から乗せたヒッチハイカーに刃物で刺されるという事件が発生しています。犯人は逮捕されましたが、最初から強盗目的であったようです。

強盗の被害に遭わないためには、・人気のない道は歩かないこと、・夜、一人で出歩かないこと、が重要です。

 また、旅行者やウィンドウショッパー等のだらだら歩きは禁物です。常に周囲に注意し、きびきびと行動するなど毅然とした態度が必要です。ヒッチハイクは、オーストラリアの各州で法律によって禁じられています。乗せても乗せられても罰せられます。見知らぬ人間を車に乗せるのは絶対にやめて下さい。

七つ目はこれまでと反対に犯罪の加害者にならないということです。

 オーストラリアで安全に生活するためには、犯罪の被害者にならないことは当然ですが、加害者にならないことも重要です。日本人の感覚では些細なことでも、オーストラリアでは犯罪となり裁判沙汰になることがよくあります。たとえば、公共の場所で飲酒すると罰金刑が科せられますし、事実、酒を飲んで騒いで逮捕された日本人もいます。「郷にいれば郷に従え」のたとえ通り、オーストラリアの生活習慣に従うことが重要です。また、特に気を付けていただきたいのは、空港や駅などで見知らぬ人に「荷物を預かって欲しい」と頼まれても絶対に引き受けないで欲しいということです。その荷物の中には何が入っているか分かりません。薬物かも知れません。身に覚えのないことで処罰されないためにも充分気を付けて下さい。

 今回申し上げた防犯対策は、皆さんの心がけ次第でいくらでも効果が期待できるものです。「海外で身を守れるのは自分だけ」と言うことを肝に銘じ、是非実践していただきたいと思います。

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オーストラリアで快適な留学生活を過ごすために  (1)

 オーストラリアには、毎年沢山の方々が留学生として来豪されます。学生として海外にやって来て、新しい土地・新しい生活になじむまでには気が付かないうちにトラブルに巻き込まれる可能性も。新しく留学生としてメルボルンにいらした方にむけて、基本的な注意事項をお話ししていきたいと思います。

安全性

 オーストラリアは比較的安全な国ですが、日本と同じ気持ちで油断をするのは禁物。こちらの人達は夜暗くなってから住宅地でのひとり歩きは殆どしません。車社会ですからちょっと近所までというような時も車で移動します。これは学校構内でも同じ。キャンパスの中は夕方からは人通りがなくなりがち。ですから日が暮れてからのひとり歩きは避けたほうが無難です。大抵の学校では”アフター・ダーク・バス・サービス” (日没後の無料巡回バス。主要ビルを回って、駐車場や駅まで送ってくれる)があるはずなので大いに利用してください。さらに構内でトラブルにあったときの連絡先(セキュリティーの電話番号等)は必ず控えて持ち歩くこと。このような情報はたいていスチューデント・ダイアリーに載っているので目を通しておきましょう。

 もう1つ気を付けたいのが置き引き。特に大学の図書館は誰でも出入りが自由ですから残念ながら時々被害が出るようです。席を立つときには貴重品を残していかないように注意してください。

 オーストラリア人はあまり現金を持ち歩かず、ちょっとした買い物はカードで済ませるのが一般的。したがっ

て比較的キャッシュを持っているアジア人留学生が狙われやすい、とも言われています。大金は持ち歩かずにエフトポスやクレジット・カードを利用するようにしましょう。自分のカードの番号や盗難時のカード会社の連絡先も別に控えておくといざというとき便利。また貴重品をバックの外ポケットに入れないというのは常識です。

生活面での注意

 一番に上げておきたいのは自分の意志を確実に伝えること。日本人は周りと歩調を合わせてやっていくのは上手ですが、自分の意見を表現するのは割りと苦手。対してオーストラリア人は自分の要求をはっきり相手に示します。言葉のバリアもあると思いますが、イエス・ノーを明確にすることはとても大切。もし言われていることの意味が解からなかったら理解するまで繰り返し尋ねましょう。それでも解からなければ紙に書いてもらい、その場で辞書を引いてみるのも良い手です。曖昧に返事をしておくとあとでトラブルになりがち。ただし自分の意見を言うときには相手に失礼にならないように伝える事も大事です。(「Thank you, but no thank you」のように。)

 ここにA子さんの例をあげてみましょう。彼女はオージーの女性Bさんとフラットでシェアをしていました。食事は各自別々ということで始めたのですが、まめに自炊をするA子さんとくらべて、Bさんは仕事の関係上帰りが遅く夕食は毎日9時すぎ。見兼ねたA子さんが多めに作ったある日の夕食の残りを帰宅したBさんに勧めると、Bさんは大喜び。それ以来Bさんは冷蔵庫の中のA子さんの残り物を無断で食べるようになってしまいましたが、A子さんは悪い気がして断わりきれませんでした。何日もこれが続くうち、A子さんは不満が爆発してBさんと大げんか、結局他のフラットに移るはめになってしまいました。Bさんは残り物は食べても良いと勘違いしていた訳ですから、A子さんが初めに「私が良いと言ったもの以外は食べないで」とひとこと言えばすんだものが、我慢をしたために事が大きくなってしまった訳です。

 これは単なる小さな一例ですが、同じような事が原因で大きなトラブルに巻き込まれないとは限りません。自分の意志を明確にして、面倒な混乱は避けたいものです。

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日系コミュニティー団体のご紹介:シドニー日本クラブの「ケアネット」

 本号よりオーストラリア内で活動されている日系団体(非営利)をご紹介します。特に私どもの活動と連携、協力などで接点が持てる団体に登場していただきます。今回は、高齢者の日本人にボランティア派遣などのサービスを行っている「ケアネット」を組織された保坂佳秀氏にご紹介の記事をお願いしました。

*

 シドニー日本クラブ(JCS)は1983年に創設されましたが、当時技術移住者の来豪が続いたことから、これらの新移住者の受け入れ態勢を整えることと、いわゆる戦争花嫁さんの高齢化に備えることが主な目的でした。

 10年ほど前に、NSW州でナーシングホームに入居している日本人が3人居るとの調査結果が出たので、詳しく調べたところ、一人は多分亡くなったらしくて詳細不明、一人は日本語を話す中国人、一人は家族が面倒を見ているのでお構いなくとのことで、具体的な行動はとれませんでした。

コミュニティ・ビジター

 この時の調査で、NSWクラスタリング・プロジェクトのマネージャー Mrs Grace Leeと知り合い、その後日本人がナーシングホームに入居をすると、クラスタリング・プロジェクトのコーディネーターから連絡が入り、コミュニティビジターのボランティアを始めることになりました。

 コミュニティ・ビジターとは、ホステルやナーシングホームに入居をしている人の希望で、同じエスニック・コミュニティから定期的に訪問をして、入居者が社会から隔離されて、孤独になることを防ぐために設けられた、連邦政府の施策です。

 現在シドニーでは、4人の入居者に4人のボランティアが対応しています。一人の入居者に一人が担当をします。

ホットライン

 前回1996年の人口統計で、シドニーには当時65歳以上の日本人が200名ほど居ることが分りました。 ビザの関係で、80歳以上の方は非常に少ないことも分っておりましたので、今後急速に福祉ボランタリーの必要が高まると予想をして、JCSの中に福祉委員会を設け、ケアネットとしてホットラインの電話受付を始めました。現在17名のボランティアが、シドニーを4地区に別けて受け持っております。

ホームビジター

 一人暮らしの方が、一人で生活を続けることが困難になると、高齢者施設(Residential

Aged Care Facilities)に入居をすることになるのですが、現実問題として、ウエイティング・リストがあって、中々入れません。政府としては、予算を切りつめるため新設の施設を許可しないで在宅サービスに力を注いでいますが、家にケアをする方が居ない場合は本当に困ってしまいます。これに対応するため、今年度からケアネットでホーム・ビジターを始めました。ボランティアの方に、希望者の家を定期的に訪問して頂いて、色々な相談に乗ります。高齢者には、英語の不自由な方が多いので、ACAT(Aged Care Assessment Team) との交渉や医者、ホームケアサービス、訪問看護などの機関との連絡に当ります。

 依頼者が施設に入居した場合は、引き続きコミュニティ・ビジターとしてサポートをします。

ボランティア・バンク

 時間的に制限があるけれどボランティアを希望する方には、ボランティア・バンクに登録をして頂いて、必要に応じてご都合を伺いながら協力をして頂いています。

クラスタリング(Clustering)

 既設のホステルやナーシングの中に、同じエスニックの入居者が3人以上集まりますと、クラスターとし

て認めてもらうことが出来ます。現在シドニーに、オーストラリア唯一の日本人クラスターがあります。

 クラスターになりますと、施設管理者との話し合いで、スタッフに入居者の文化背景(食べ物や宗教など)の講習をして理解を深めてもらったり、日本人のスタッフを採用してくれるように働きかけることが出来ます。日本人は数が少ないので、独自の施設を持つことは極めて困難でありますので、このクラスター施策を有効に活用したいと考えております。

月例会

 毎月、第二土曜日の午後1時から3時まで、カウンシルの部屋を借りてワークグループ・ミーティングを行っています。最初の一時間は、ボランティア同士の打ち合わせで、各自の担当している依頼者の状況に付いて意見交換を行います。問題があれば皆で相談をして、解決法を探します。後半の1時間は、ボランティアのトレーニングです。

 福祉のボランティアは、台風や地震災害のような一過性の活動と違って、依頼者の相談に応じられるような専門的な知識が必要ですし、何年にも亘る長期間の人との関わり合いがあります。従って、ボランティアも日ごろからオーストラリアの福祉システムや機関との対応の仕方、痴呆症に対する理解や、対人関係の知識を貯えておくことが必要です。

 ボランティアを希望する方は、まずトレーニングに参加をして頂いて、ボランティアに付いての理解をして頂いています。

ボランティアの基本的な心構え

 ボランティアは、福祉の専門家ではないので、依頼者のお友達と定義をしています。依頼者は、困った時にはお友達に助けを求める積もりで、ボランティアに連絡をして頂きます。ボランティアは、依頼を受けたら、お友達に接する気持ちで、できる限りのお手伝いをします。

 依頼者のプライバシーを守るために、依頼者の個人情報はボランティア同士で必要な時以外は守秘義務を守って頂きます。

 

 以上がシドニー日本クラブで現在行っている福祉活動の概要です。

詳細に就いては、全豪ネットワーク・ホームページの「高齢、障害者福祉情報」をご覧ください。

http://ozemail.com..au/~camellia/JCA.htm

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日系コミュニティー団体のご紹介 (2) :

社会福祉法人 サポートネット虹の会

理事長  中原 武志

 パースは、世界一美しい街とか、世界一住みたくなる町などという紹介がなされております。事実気候の比較的安定した、そして温暖なパースは、その広大なエリアに僅か130万人程度が住むという非常に恵まれた住環境であることに嘘偽りがないでしょう。

 そのパースに、日本人は約3千人から3千5百人程度がいるのではないかというのが総領事館のお話です。パースメトロポリタンエリアは大体、東京都と神奈川県を合わせたぐらいの広さになります。このような広大なエリアに3千人程度がいましても、それぞれがあまりかかわることがないか、あるいは村的な関わりの中で生きていくかのどちらかの選択になるでしょう。

 もし、困った時に誰に助けを求めるかという問題では、当然のこととして「友人」が挙げられますが、友人は「昨日の友は今日の敵」ということもありえるわけですから、絶対的な安心を得るということにはなりません。

 かつて、ある日本人組織のメンバーの家族が亡くなった時、頼りにしていたひとり娘を亡くして狼狽している両親に対してなんの手助けもしていないのを見たとき、憤りに近いものを感じました。

 組織は、親睦を旨としていても、楽しむだけのグループは存在価値がないとわたしは考えております。1999年3月から準備をはじめ、ようやく2000年8月に法人としての認可をいただいたばかりでこれといった活躍はいたしておりません。

 これまで、ナーシングホームに入居しておられた邦人のお世話や、脳梗塞で入院しておられた方の食事、リハビリなどのお手伝い、各種講習会、電話相談窓口などをしてまいりましたが、パースで最大のオーストラリア人のボランティア組織と提携が出来まして、ガーデンケアー、ハウスケアー、運転代行などの作業を、わたしたち日本人のためにやっていただいております。

 これからは、ホープコネクションさんをよき先輩として学ばせていただきながら、よりよきボランティア組織として成長してまいりたいと願っております。多くの皆さんのご支援を心からお願い申し上げます。

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日系コミュニティー団体紹介  「JCV実りの会」

 シリーズで日系コミュニティー団体のご紹介を掲載しています。今回は、ヴィクトリア日本人クラブ(JCV)の中にある「JCV 実りの会」からの寄稿をいただきました。

***

 以前、「シニア会」と呼ばれていたのですが、メンバーがシニアばかりだと運営、準備がたいへんになり、3年前に「実りの会」と名を改めました。将来、日本人コミュニティーで高齢化に向かうネットワーク作りの勉強会をしています。

 平成12年10月1日現在、メルボルン総領事館発表のヴィクトリア州在留邦人の数は:

 長期滞在者 4058  男性 1652  女性 2406

 永住者   2853  男性 1059  女性 1794

 合計    6911

 この他に国際結婚し国籍を変えた人、短期滞在者がいるのですが、上記の数字を基準にしてみると、

 2001年 65歳以上を 5 %として、 350人

 2020年    10 %   700人

 2051年    20 %   1400人

の該当者が出ることになります。

 日本で抱えている高齢化問題に加えて、海外で生活をしている元日本人/在留邦人が考えていかなければいけない問題が、言葉と、環境の問題でしょう。家族揃って移民してきた家族で、大黒柱のお父さんが先に逝った場合、お母さんは残った家族を守っていけるでしょうか?国際結婚をしている夫婦が痴呆症で英語を忘れてしまった場合、充分なコミュニケーション、介護ができるでしょうか?

 オーストラリア政府のAged Care Systemは、現在介護者の不足、資金難が始まっており、これから10年、20年後、どのようになっていくか定かではありません。イタリア、ギリシャ、中国、ヴェトナムなど以前の国籍を共にするグループも自分達の入れる Nursing Home や Retirement Houseを作っています。人口の限られている日本人コミュニティーでそのような設備が作られるかどうかはわかりませんが、介護を必要とする人がいれば手伝いに駆けつけられる「助っ人」グループを作ろうではないか…というのが「実りの会」の目的です。

 そのために保険や車椅子に乗ってみる体験、オーストラリアのシニアのグループとの交流や、視覚・聴覚が不自由な人々をサポートするグループとの話し合いなどを行ってきました。JCVが母体ですが、先日クラブで行ったアンケートではクラブに入っているかいないかは問わず、話し相手や、買い物の手伝いなど、日常のちょっとしたことを手伝えるようなネットワークを作ることができれば良いと考えています。

 しかし、まだほとんどが働き盛りで時間の余裕がなく、毎月の例会が第3火曜の10:30 amということもあって集まることが難しいようです。「夜や週末なら参加することができるのだけれど」という声もあるのですが、そうすると足の便が無いシニアのかたがたが参加できないと言うことになります。参加できない人たちのために、日本語新聞などで記事をだすことは報告の意味を持っています。 オーストラリアの人たちも、「定年になったからそろそろボランティアーとして働こうか?」と考えるようで私たちも後5年、10年先を目指しているのです。(その頃には世話をされるほうになってしまうのですが)御興味がありましたら一度会に顔を出してみてください。

 10月の実りの会は「Aged Care 施設訪問」を予定しています。CAE のVivian Decleva先生が特別に付き添いして下さり、普通にナーシングホームを訪問しても見落としがちな「つぼ」、つまり、ケアの中味をチェックするポイントを教えて下さいます。ナーシングホーム選びの選考にしていただければうれしいです。また、このような施設で働くボランティアの資格や責任範囲についても説明していただく予定です。 

 詳細、場所はお問い合せのあった方に直接ご連絡いたします。

日時:10月16日(火) 11:00am~1:00pm

  場所:会場詳細は下記連絡先にお問い合せ下さい

  会費:大人$10(会員)、$15(非会員)

  連絡先:まり  9397-8421

      みどり 0418-540-865

      いずみ 0419-588-498

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オーストラリアの移民法・ビザについて

日豪サポートサービス 加茂前 千代

 去る2月17日(土)ホープコネクション_カルチャースクールにて日豪サポートサービスの加茂前千代さん(移民代理申請人 登録番号 0100818)より標題についてお話をしていただきました。また当日はERSKINE RODAN & ASSOCIATES BARRISITERS & SOLICITORSの移民法専門弁護士 Christine J. Rodan さんにも御参加いただき、詳しい質問にお応えいただきました。以下の記事は、加茂前千代さんが当日のお話を中心にまとめられたものです。

*

 オーストラリア国籍を持たないオーストラリア住民は全て何らかの形でオーストラリア移民法の制限を受けています。しかし、オーストラリア移民法は改正が頻繁に行われ、複雑化されることもあり、把握しにくい法規といえるでしょう。今回のセミナーではオーストラリア移住を希望する日本人の多くが、申請対象とするビザカテゴリーを紹介しました。

 

配偶者移住(Spouse/ De Facto)

 配偶者移住プログラムにより、オーストラリア国籍または永住権保持者、そしてオーストラリア永住資格を有するニュージーランド国籍保持者と婚姻、婚約そして同棲関係にある者は永住権の取得が可能である。ここで「配偶者」とは、スポンサーもしくは指名者 (オーストラリア側)の夫、妻、内縁関係の相手を指す。ディ・ファクトで申請する場合は、申請直前の12ヶ月間内縁関係が存続していなければならない。オーストラリア国内外を問わず配偶者として永住権を申請する場合は、2段階の審査過程をもって決定がなされるが、申請は1度だけとなる。

 オーストラリア国外で申請する場合は、第一段階として配偶者(仮)ビザを申請し、次段階で配偶者永住ビザの申請となる。国内申請の場合は、第一段階で配偶者一時滞在ビザ、次段階で配偶者永住ビザとなる。審査過程のどちらの段階においても、二人が真正な配偶者としての関係を保持しているか移民局の主要な審査基準となる。申請者の扶養家族(子供や老齢者など)も、配偶者移住申請に含まれる。配偶者移民ビザの申請料は1075豪ドルである。

 

婚約者(Fiance(e)s)

 オーストラリア側婚約者と結婚予定の海外在住申請者は、Prospective Marriage (結婚見込み)ビザを申請できる。同ビザは発給日から9ヶ月間有効で、この期間内にオーストラリア入国、結婚そして永住ビザの申請をしなければならない。これらの条件を全て満たすと申請者には配偶者一時滞在ビザが交付され、それから2年後に関係が継続していればその時点で配偶者永住ビザが交付される。一時滞在ビザでオーストラリア国内にいる者は、婚約者ビザを使い滞在期間延長を申請することはできない。この状況に対応できるビザカテゴリーはない。スポンサーそして指名者は、オーストラリア国籍または永住権保持者、そしてオーストラリア永住資格を有するニュージーランド国籍保持者で18歳かそれ以上でなければならない。

 

技術独立移住(サブクラス136)

 このビザを取得できるのは、特定の分野において熟練し、オーストラリアでの高い雇用機会を見込まれる技能を持つ人物であり、オーストラリア経済に貢献できる者である。その技能がオーストラリアの水準に見合うかどうかの審査も必要となる。申請者は、45歳未満であり一定水準の英語能力を有することが求められる。

 

申請における基礎条件

・年齢  申請時に45歳未満であること。

・英語能力  オーストラリア国内で仕事が充分にできるレベルの英語能力が必要である。実務英語、具体的には英語能力試験IELTS(International English Language Testing System) の各項目(文章力、読解力、聴解力、会話力)で少なくとも5点以上取得することが要求される。英語能力が直接関係する職種の場合には、技能審査においてより高い英語能力が必要となる。

・資格  高等教育機関(大学や専門学校など)を修了した者であること。(職種によっては、その分野での十分な職歴での代用が可。)また申請者の指名する技能職がオーストラリアの当該職業認定審査機関で評価されなければならない。

・指名する職業  申請者は自分の技能や資格に見合った職業を指名することになるが、その職種が移民規定の技能職一覧に載っていなければならない。一覧にない場合は、申請不可。

・実務経験 申請者の職業が技能職リストで60ポイントに相当する場合、ビザ申請の直前18ヶ月の間に12ヶ月以上の実務経験が必要となる。40か50ポイントの場合は、ビザ申請の直前3年の間に2年以上の実務経験が必要になる。また職種によっては、技能認定のためにより長い期間の実務経験が必要条件となることもある。

・オーストラリアの資格取得者への免除申請者がビザ申請の直前6ヶ月以内にオーストラリアの資格や学位を取得した場合、実務経験は免除となる。この6ヶ月期間は資格・学位取得のための教育活動完了日からであり、資格・学位授与日からではないことに留意。

 

ポイントテスト

 この独立移住ビザでは各審査項目においてポイントが設定されており、申請者は最低110ポイントが必要となる。審査項目には、技能、年齢、英語能力、実務経験、高度需要職種、オーストラリアの資格・学位、配偶者の技能、ボーナスポイントとして指定言語での能力や国債投資などがある。

 また申請者かその配偶者にオーストラリア国籍または永住権を取得した近親者がおり、スポンサーになれる場合は申請者にボーナスポイントが与えられる。この条件下では2つのビザ取得方法があり、それぞれ「技能―特定地区居住スポンサー」、「技能―オーストラリアスポンサー」となっている。一般に申請者は健康診断と性格適正審査を受ける必要がある。

申請料は1075ドルである。

 申請はオーストラリア国外での提出・審査となるが、申請者はオーストラリアの職業認定審査機関から該当技能の審査を受けなければならない。

 時間の関係でその他のビザカテゴリーまでカバーできなかったが、オーストラリアで退職後の生活を送りたい55歳またはそれ以上の人対象の退職者(サブクラス410)、事業主や幹部役員、投資者が海外から申請できる事業技術移住、国内の労働市場では発掘できず、且つ既存の訓練プログラムでは育成不可な高度な技術者を多国籍の人材から採用する雇用主指名制度(ENS)などもあり、個々の状況、経歴、才能に最も合致したビザカテゴリ―で申請するのが最も有利であり、信頼できる法律家に相談する事が大切である。

 

ここに記されました全てのビザ情報は一般的なガイドラインで、各ケースによって該当するビザ、その他の詳細が異なりますので複雑なケースは信頼できる法律家の助言や補助を受けられることをお勧めします。なお、このビザ情報はERSKINE RODAN & ASSOCIATESによって提供され全て2001年2月8日現在の移民法を基にしたものです。

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