HOPE CONNECTION

 

ホープコネクション留学生調査報告

 

以下は過去のニュースレター 第33号 - 37号に連載された

留学生調査チームによる報告を、まとめて読めるよう再掲したものです。

 

「留学生調査」報告会行われる

3月に行われたホープコネクションカルチャースクールでは、3年近くかかって取り組んできた「留学生調査」報告会が開催されました。参加者はやや少なかったものの、実際に留学生を世話する立場の人や、これから高校生となるお子さんを持つ親御さん、また現役の高校生の参加もあって、和やかな交換会となりました。報告発表では、アンケート調査の結果概要、面接調査の報告と二部構成で行われました。後者の部では、ロールプレー形式で当日参加した現役高校生に被面接者になってもらい、留学体験を「生々しく」語る場面が入り、異文化の中で戸惑い、怒り、悩み、笑い、たくましく成長していく高校生の姿があぶりだされました。

報告の中で、ホストファミリーについて高校生の具体的不満も紹介され、その質について実際は千差万別であることなども関係者の話などからわかってきました。この点については、ガイドラインなどの基準を設けることが必要ではないかという提言も出ました。

今回、このような形で「留学生調査」結果を発表しましたが、さらに報告書としてまとめ、留学生によりよいサービスの提供を関係機関に働きかけていきたいと考えております。また、これを機会にホープコネクションとしては、ユース・スチューデント・ヘルプライン開設を当面の目標に若者支援に取り組んでいきたいと思っています。さらに、私どものニュースレターにもこれを順次掲載し、多くの皆様と調査結果を共有しながら、コミュニティー全体で若い人たちを応援していければと願っています。以下、報告書の一部をご紹介します。

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留学生調査報告 (その1)

ホープコネクション 留学生調査チーム

ホープコネクションは(以下HCと略す)、2002年、10月「留学生調査チーム」(以下調査チームと略す)を組織し、日本人留学生調査に取り組んできた。このたびアンケート調査、面接調査から得られたデータ分析が完了したので、以下詳細を報告したい。

1) 調査の背景

HCがヴィクトリア州の高校に留学している日本人高校生の調査を行ったきっかけは、彼らに接したことのある医師やサイコロジストなどの専門家が、「若い日本人留学生をサポートできないか」とHCに問い合わせてきたり、実際に問題を抱えている学生の状況について伝えてきたことによる。また、高校留学でやってくる若者の数が増えるにつれ、適応の問題や、不登校問題が一部関係者の間で深刻に語られるようになってきた。しかしながら、HCの電話相談に高校生が直接相談してきたことがなかったため、実態把握ができなかった

HCは創立時よりオーストラリアに暮らす日系の人々への情報サービスの提供を幅広く行ってきたが、若者向けのセミナー(たとえば性の問題)など企画してもなかなか集まってこないなど、対応しにくい状況が続いていた。

そこで、庭野平和財団からの助成金を活用し、HC独自で留学生調査に取り組むプロジェクトが発足した。調査経験のある会員を中心に、仕事で留学生に接する機会の多い会員や、留学生問題に特に関心のある会員がプロジェクトチームを作りHC の活動の一環として取り組んできた。

2) 調査目的

留学生調査プロジェクトの発足に伴い次の目的が確認された。

              * 留学生が抱える問題、悩みを具体的に把握することで、若者向けサービスの拡充を図る。

              * 教育省、学校、留学生派遣会社、ホストファミリーなど留学生に係わる関係諸機関に対して、留学生へのより充実したサポートを行うための提言をする

3)調査方法

3.1 アンケート作成

上記目的に沿ってまずアンケート作成を行い、以下の項目について質問事項を設けた。

              * 被調査者の属性(性、年齢、渡豪時期など)

              * 留学目的、経緯、英語力など

              * 日本での学校の様子

              * 学校生活について(友人、教師、授業の難易度、満足度)

              * 学校外生活について(休日の過ごし方、友達づきあいなど)

              * ホストファミリーについて(家族構成、食事、親密度)

              * 健康状態(身体の調子、メンタルヘルス、相談相手の有無)

3.2 アンケート配布、回収

アンケートはHCの会員が知り合いなどを通して配布したほかに、留学生派遣業者の協力を得て配布してもらった。アンケート用紙には返信用封筒を添付し、HCのpostal address に郵送してもらう方式を取った。アンケートは、2003年はじめより配布を開始し、約半年間の間に配布、回収を完了させた。配布部数は約120部、回収部数は45部であった。このうち専門学校生、大学生、大学院生からの回答8部は、今回の調査報告対象から除外した。従って被調査者は高校留学生37人(女26、男11)に限られる。女性のほうが多く回答している点ついて、実際の留学生の数でも女性が多いのかは不明である。過去10年ほどの留学生の数(男女別含めて)については、教育省等諸機関に問い合わせてみたものの、残念ながら正確な情報が得られなかった。

3.3 アンケート分析、整理

回収したアンケートを項目別に集計、整理を行い、アンケート中に後日面接調査に協力してもよいと記名回答した者を、面接対象者として区分した。

3.4 面接調査

アンケートへの回答をもとに、面接時における質問を作成した。質問内容は、学校生活(英語学習の補習の有無、教師、他の学生との関係、ドラッグ、アルコール問題、日本の学校との比較)、ホストファミリー(もめごと、食事、病気のときなど)、日本の家族について(コミュニケーションの頻度)、カルチャーギャップ、将来のことなどをも盛り込んだ。

面接に応じた留学生は、全部で9人(男2、女7)。調査者と1対1で行う形式を取り、内容はテープレコーダーに録音した。しかし9人のうちひとりは、遠方に住んでいたため、電話によるインタビューであった。面接は、2004年4月から8月に実施された。アンケート回答から約1年以上経過していたので、TAFEなどに進学した者も面接対象者となった。面接を行う前に、調査の目的を伝え、被調査者のプライバシーを守ることを確認し、面接に協力する旨の同意書に署名をしてもらった。面接はカフェなどの場所で1時間から2時間の範囲で行われた。

録音テープは、面接担当者がテープ起こしをし、調査チームが分析を行った。

 

4) 分析結果

4.1 アンケートについて

アンケート結果から得られた主な特徴について述べてみたい。回答者の多くは男女とも中学を卒業(女12、男6)、あるいは高校を中退(女7、男3)してきた者が大半であり、中には中学退学者(女1、男1)もいた。留学の目的は、英語上達が圧倒的であった。日本の大学入試のためと回答したものはひとりもいなかった。また留学は多数が自分の意志で決めてきている。ことに女性は、ひとりを除いて25人が自分で決めたと回答、男性は5人が自分で決め、親、友人と相談したと答えた者が4人いる。留学生の中には日本で、不登校などの問題があったものが多いのではないかという予測をしたが、日本の学校を長期に欠席したり、日本の学校に不満をいただいていると回答した者は、男性で4名ほどいるが、女性では非常に少なかった。この面でも女性のほうが適応柔軟型と見ることができると思う。

学校での様子では、半数以上が授業についていけると答えているが、男性2、女性7人が半分ぐらいしかわからないと回答している。勉強の難易度については、男女とも困難を感じているものが半数以上であった。具体的には科目によると見られ、化学、生物、社会など難しいと回答している者もいた。教師、友人らからの援助については、男女ともほとんど満足している様子が伺えたし、英語を教えてくれる友人が数人いると回答しているものがほとんどである。英語に関しては、少なくとも援助があるようだ。

友人については悩みを話せる友人が「いない」と答えた者はなく、大半が数人の親しい友人を持っていたが、女性の半数近くの10名が友人作りが英語力の不足などのために難しいと回答していた。友人は、日本人中心に偏る傾向はややあるものの、アジア系含め現地のオーストラリア人とも付き合っていることがわかった。

学校外の生活では、ホストファミリーとも家族的関係ができている場合と、下宿的な環境とに分かれるようである。たとえば、家族旅行に誘われたことがあるかとの質問に、回答が二分している。女性のほうが多く誘われているが、男性は少ない。女性はベビーシッターを頼まれることもあるようだ。友人を家に呼ぶことは一人を除いて禁止されてはいない。多くが月1、2回ぐらいの頻度で友だちを呼んでいる。ホストファミリーとの関係は男性一人を除いて不満はないと回答している。しかし、面接調査ではむしろホストファミリーへの不満が多く語られ(面接調査結果については、次号ニュースレターで報告予定)、ホストファミリー問題が潜在していることをうかがわせる。

いずれにしてもアンケート結果から見る留学生活の満足度は、高いと見ることができるようだ。.しかし、健康状態についての質問では、男女とも疲れやすい、いらいらすると回答していた者が約半数に上っていた。こうした場合、大半は友だちなどに相談するケースが目立つが、中には少数だが、ホストファミリー、ガーディアンなどにも相談している。一方、男性4、女性2名は相談しないと回答している。恋愛問題で悩む者が少数いたが、ドラッグの悩みを抱えるものは回答者の中には見られなかった。

以上アンケートから出てきた特徴についてまとめたが、当初予想した深刻な適応問題などは出てこなかった。アンケートに自主的に答える形式では、難しい問題を抱える学生はこの種の調査に積極的に答える確率は低く、深刻なケースはどうしても外れてしまうと思われる。従って、このアンケート調査結果をもって大半の留学生は比較的順調と結論づけることは早計と思われる。表面に出にくい問題の掘り起こしをどのようにするのか、課題が残されたと理解すべきだろう。

なお次号のニュースレターでは、面接調査結果について報告したい。

 

留学生調査 その2

 

前号ニュースレーNo.33に引き続きホープコネクションが約2年半ほどかかって行った留学生調査について、今回は特に面接調査を中心に報告したい。面接調査では、調査チームが先のアンケートに基づいて面接用の設問をあらかじめ用意した。

 

質問項目は、1)学校生活、2)ホストファミリー、3)日本の家族、4)カルチャーギャップ、5)健康、6)その他で構成されており、それに沿って、調査者が具体的に留学生に質問する形式を採った。面接に応じた留学生は合計9人(女7、男2)であり、以下の報告はこれらの面接結果を分析したものである。

 

 

 

学校生活について

 

1)  勉強

 

アンケートで勉強に対して困難を感じているという回答が半数以上であったため、具体的にどんなところが難しいか聞いてみたところ、ことに初期のころは授業についていくのが大変だったり、宿題が進まないなど焦りと不安に悩まされている様子が伝わってくるような話が多かった。中にはESLのクラスもなく、現地の学生と同じ課題をやらされたB子さんは、そのつらさを

 

「最初すごくついて行くのが大変で、もう泣いて泣いて泣いて、もう宿題も全然できなくて。最初もうホントわかんなくって、何をやってるのかもわかんなくて、全然ついていけなくって」

 

と実感を込めて語っている。

 

多くの留学生が、英語の壁に悩まされていることも特徴的である。加えて、課題のスタイルや宿題の出し方、形式が日本と大きく異なることからの戸惑いもある。レポートを書いて提出する宿題などでは情報の調べ方に慣れていないために困難を感じる学生もいた。他に、バイオロジーやケミストリーなど専門用語が多い科目やコンセプトに悩まされ、途中でその科目を諦めるケースもあり、結果、希望していた大学のコースに進めなかったという悩みも聞かされた。

 

では、どのようにこうした困難を乗り越えていったのだろうか。多くは教師、他の国から来たアジア系の留学生から教えてもらうなど第3者の協力で助けてもらっているケースが多い。留学生担当の教師が親切にしてくれ、困っている様子がわかれば、教師側から声をかけ、悩みを聞いてくれたと話す学生もいた。手遅れになる前に誰かに助けを求めるということがサバイバルの鍵ともいえる。こうして困難を抱えながらも留学生は、徐々に学校環境に馴染んでいくようである。そしてやがて勉強を楽しむこともできるようになっていくようだ。単に覚えよといった授業形式でなく、自分の意見を求められること、自分で調べることを要求されることが面白さ、楽しさにつながると述べた学生も多い。したがって学校のカリキュラムなどは、日本と比べてもおおむね評判がよく、満足している様子が伺える。

 

 

2) 教師・友人との関係

 

次に教師、友人関係について述べてみたい。必ずしも教師、級友が協力的というわけでもないようである。お互いに慣れていないために、問題行動が起きた場合など「一時帰国」、「強制送還」などの厳しい処分もあるようだ。D君の場合、タバコを吸っているところを教師に見つかり咎められたケースだが、結局日本に一ヶ月帰らされたという。 D君の言い分としては、現地の学生は吸っていても何も言われないのに、何故自分だけといった不満もあったようだ。また出席数が足りなくて、「強制送還」になった学生もいたが、気持ちを入れ替えて戻り、語学学校にまず通い、その後留学生活を続けた学生もいた。こうした負の体験も肥やしにしている実態は興味深い。しかし、上述した問題は、留学生だからこそ経験してしまった事例であり、自分が母国を離れ学生ビザで滞在している身分であることを忘れ、軽はずみな行動をとれば、大きな問題に発展してしまうことを留学生、関係者は十分留意すべきであろう。

 

友人関係では、現地の友だちを求めながらも、同じ学校に日本人がいるとついかたまってしまう傾向は否めないようだ。そのあたりの難しさを、G子さんは、

 

「ずっとこっち来て、絶対日本人とかたまらないって決意してきたんですけど、やっぱり、オージーの子に声かけられなくて、去年の7 月くらいまでくすぶってたんですけど、やっぱ声かけなきゃいけないなと思って、オージーの子に声かけて、それからずっとその子たちの中にいたんですよ。いたんですけど、全然最初言ってることっていうか、何の話題について笑ってるのかが全然わからなくて、ホントにもうそこにいるだけ、壁の花?みたいな感じで。」

 

と、努力はしても現地の学生たちの会話に入れないもどかしさも感じてしまう。そのうちに日本人の友人に傾いたり、それでいながらこれはいけないととう葛藤に悩まされるという。日本人だけでかたまってしまうと人間関係が狭くなり、逆に面倒になるという意見を述べていた学生もいたが、友人選びの難しさはむしろこの年代に特徴的ともいえ、そこに人種、文化的要素が絡まってきて場合によっては留学生の大きな悩みになりかねない。

 

中にはレイシズムを体験した留学生もいる。学校あるいは、駅やバス停などの周辺地域で「Go back」といわれたり、いやな目で見られたと語ったE子さんは、学校を変えようかとまで悩んだが、教師やホストファミリーとうまくいっていたので、乗り切ったようだ。しかも似たような体験を他の留学生がしてはたまらないと、むしろ積極的対応に出ている。

 

「まあ後とりあえず1 年頑張ろうと、、。わたし、すごく負けず嫌いで、このままいったらわたしの負けだなと。で、学校に残って、とりあえず生徒会に入ってInternational の学生としてアクション起こそうかなと。まだ何もしてないけど。留学生はお世話される方だけれど、今度は自分が何かやりたい。去年、生徒会の選挙があって、自分も立候補したんです。」

 

E子さんは、学業成績もよかったため、自信もついていった一方、現地クラスメートから「Goody」と陰口を言われたこともあったと悩みも打ち明けた。留学生でなくとも体験するようなエピソードであるが、悩みながらも前向きにやリ抜く留学生もいることがわかる。

 

 

3) ドラッグ・アルコール

 

若者の問題といえばドラッグが常に話題になるオーストラリアであるが、日本人留学生たちはどれほどこの問題に晒されているか、我々ホープコネクションとしても実態を知りたいと常々意識していたが、この調査を見る限り、幸いドラッグは誰

も手を出してはいなかった。もちろん限られた人数の調査のため、一般化はできないことをここで再度強調しておきたい。面接に応じてくれた多くの学生が、すすめられても断るとそれ以上すすめることはないと答えている。一方、オーストラリアでは18 歳以上がアルコール飲酒を認められているのでパーティーなどでは、飲むのが当り前になっている。高校生であってもビールやワインを飲むことには全く抵抗がないようだ。

 

学校でドラッグやアルコールの危険性について特別に教わる機会があるかどうか尋ねると、そういうものがあったような気もするという返答が大半で、一応形式的にドラッグ、アルコール対策プログラムといったものが行われていることは確かである。学校によっては個人的なカウンセリングが受けられるところもあるが、利用者は少なく、カウンセリングを受けている様子を見たことがない、という回答もあり、危険性についての教育のあり方に対してはやや疑問が残る。

 

 

4) 日本の学校との比較

 

日本の学校と比較して良い点・悪い点などを質問すると、オーストラリアのやり方を評価する傾向が強く出た。C 君は、次のようにコメントしている。

 

「僕はこっちのエデュケーションの方が、いろんな勉強の仕方にしろ、宿題の提出の仕方にしろ、全然良いと思うんですよ。日本のは基本的にテストが多いじゃないですか。で、1日、2日とかで丸暗記して(笑)、それをただ写していくっていう作業がやっぱり少なくないですよね。でもこっちは基本的に、まあテストもあるんですけど、アサイメント提出物の方が重要化されていて、いろいろなとこから情報ゲットして、調べて行くうちに、そこで学ぶんですよね、調べてると。インターネットのウェブサイトを読むじゃないですか、で、そこで自然に覚えちゃってて、それを最後まとめて提出して。ってか、あの何週間掛けて提出した時の喜び、じゃないですけど、もうそこの時点で、テスト勉強するよりいろんなこと学んでるってことが多いんで、僕はこっちの教育方針の方が好きですね。」

 

授業自体が楽しいという学生も多い。日本では授業中寝ていたり、だらだらしている学生がいるが、ここでは、本当に勉強に来ている、そういう学生が多いと感想を述べている留学生もいる。また、選択科目が重要視されるので好きな勉強に打ち込めること、幅広い考え方が身につくとコメントしている学生も多い。一方、日本の学校にある「青春」のイメージを思い描く留学生もいる。B子さんはそんな思いを以下のように述べている。

 

「で、日本のいいところは、えー、なんだろう?日本の学校のいいところは、『青春』って感じじゃないですか(笑)?日本って。なんかこう、放課後のクラブ活動とか。なんだろう、あの素晴らしい、たまらない、『青い春?』(笑)じゃないけど。こっちは青くない・・・(笑)。なんていうのか、分からないけど、日本の学校も日本の学校で好きですけど、、、、」

 

しかし、B子さんの場合、日本の学校をそのようなイメージで捉えながらも教師がいやだったために日本の学校に馴染めなかった体験を語っている。そして、こちらの教師の方がむしろ生徒のためを思っていると評価している。こちらの学校に対する批判は、「学校が汚い」「先生と生徒の上下関係がなさすぎる」などがあり、日本の学校の悪いところは「自由がない」「強制ばかりする」という点などが指摘された。

 

今回の報告では、学校生活を中心にまとめてみたが、来たばかりはことに英語で悩みながらも、全体的にはおおむね良好な学校生活をおくり、こちらの学校システムにも満足している様子が伺えた。ドラッグは身近にあるものの、日本人学生は距離

を取っているようであるが、調査に出てこない部分についてむしろわたしたちは知りたいと思う。そしてホープコネクションとしてどのようなサービスを提供できるか考えたい。次回はホストファミリーについて報告する予定。

 

留学生調査 その3        

 

 ホープコネクションが約2年半ほどかかって高校生を対象に行った留学生調査について、ニュースレターNo.33 では主にアンケート調査の結果を、そしてNo.34 では面接調査で設けた学校生活についての設問結果を分析して報告した。今回はホストファミリーについて面接調査の結果を報告したい。

 

 

ホストファミリーについて

 

 面接前に行ったアンケート調査の結果をみると、ホストファミリーとの関係は男性1人を除いて不満はないと回答している。しかし、面接で個別に話を聞いてみるとホストファミリーには当たり外れが随分あり、辛い思いをした経験や様々な不満が多く語られた。

 

 

1) 収入目的のホストファミリー

 

 D くんのステイ先では、コーディアルは飲んでもいいが冷蔵庫にあるフレッシュジュースは飲んではいけない、というルールがあった。要するに、安物は留学生用、高価なものは家族用、ということである。また、別のホストファミリーでは、A さんが住み始めると同時にガレージや家のあちこちが改築され新しくなっていったのに、A さんの夕飯はどんぶり一杯のご飯の上に茹でた野菜が少しとツナ缶のみというのが殆ど毎日であったと言う。A さんは、当時のガーディアンが怖くてホストファミリー変更の希望も伝えられず、2年間そこでの暮らしを我慢して続けた。支払ったホームステイ費用について、A さんはもっと自分のために使って欲しかったとコメントしている。

 

 アンケート調査では、回答者の殆どがホームステイ先では1人部屋を所有していると答えている。しかし、I さんの最初のホームステイ先では、家は新築二階建てと立派だったが彼女に与えられたのは部屋でなく、仕切りで囲って作られたちょっとしたスペースであったという。この家庭は学校が手配したそうだが、ホストファミリーは学校関係者がI さん用の部屋を見に来た時には、学生用の部屋として別の部屋を見せたらしい。まともな部屋でないことをI さんが学校に伝えると、ホストファミリーから非難されるようになり、結局I さんは別のステイ先へ移った。その後、I さんと同じクラスへやってきた新しい学生が、そのホストの家でやはり仕切りで囲ったスペースを与えられ暮らし始めたというから驚きである。きちんとした部屋がないという問題がはっきりした後でも、I さんを別のホームステイ先へ移しただけで、学校側やホストファミリーによる根本的な問題解決は行われなかったようだ。

 

 このように自分の居場所がきちんと確保できなかったり、一緒に暮らす家族と差別されたりというように、ホストファミリーから不適当な扱いを受けた経験のある留学生は少なくない。未成年がたった一人で家族や友人の元を離れ、言葉も文化も全く異なる環境で生活していく上で、現地の家族となるホストファミリーは非常に大きな存在と言える。だが残念なことに、単に収入源として学生を受け入れているホストファミリーが多いのも事実のようだ。そのような冷たい環境に置かれては、やは_り心細くもあり淋しく、当然のことながら満足した留学生活は望めないであろう。

 

 

2) 家庭的なホストファミリー

 

 一方、留学生に対して家族の一員のように大切に接してくれるホストファミリーも沢山いる。しかし、学生の性格によっては、「家庭的=良いホストファミリー」とは一概に言えないようだ。実際、あまり干渉されたくない性格であるG さんは、温かく迎えてくれるホストファミリーとの暮らしの中で、家族と過ごす時間が少ないとホストファミリーから咎められたことがあり、次のように語っている。

 

「凄い誘ってくれるんですよ、家族が。『映画見に行こう』とかって。でも、映画見たくないから、『いや、いい』って言うんですよ。で、『シアターに何とかっていう劇が来るから行こう』って。『いや、劇嫌いだし、その内容つまんなそうだから、いい』って言うんですよ。『買い物行こう』って言われて、買いたい物がある時は、ちゃんと行くんですよ。だから、『行きたい時は行って、行きたくない時は行かない』って言ったんですよ。それが、『何にもついて来ない』って言われて。だって、映画だって行ったって払うの自分だし、シアターだって行ったって払うの自分じゃないですか。行きたくないものにそんな払いたくないじゃないですか。しかも、行く頻度が凄いんですよ、あの家族は。だから『行きたくないものは行きたくない』って言ったんです。確かに、付き合わなきゃいけない時もあるんですけど、だけど、行きたくないものは行きたくないんだよ。」

 

 このように、留学生の性格によっては、その家族の暮らし方が悩みの種になってしまうこともあるので、ホームステイの手配にはそういった性格的要素を考慮する必要もある。

 

 もちろん、家庭的なホストファミリーと仲良く過ごし、上手くいっているケースも多く見られた。ホストファミリーがいつも気に掛けて勉強の進み具合や友人関係の悩み事なども聞いてくれ、元気が出るようにしっかり食事も作ってくれている様子が語られた。こういった回答は、特にゾーン2~3などシティーから離れた場所で暮らす留学生に特徴的であった。I さんは、ホストファミリーからの温かい支えのお陰で「昔より駄々をこねなくなった。大人になった」と自分自身を振り返った。また、母子家庭で育ったB さんは、家族の絆の強いイタリア系ホストファミリーと2年間共に過ごし、彼らから深い愛情や家族のありがたみを学んだという。全体的には、面接に応じてくれた多くの学生が、小さな不満はあってもホストファミリーに対して感謝している様子が伺えた。

 

 

3) 食事について

 

 ホームステイ先の食事については、美味しく満足しているという回答が比較的多かったが、脂っこいとか、同じようなものばかりが出る、手抜き、場合によってはホストが忙しがって作ってもくれないなどの不満も語られた。そういった問題を自分の年に近い家族に話して改善してもらったというエピソードもあったが、中には食生活が原因で不眠症になり、半年ほど大変な思いを経験した学生もいた。

 

「原因はストレスもあるんですけど、食生活もあったらしく。寝る時にもスタミナが要るらしいんですよ。しっかり栄養を取ってなかった為、そこまでちゃんとぐっすり眠れるような体になってなかった。まあ、ストレスはやっぱ眠れないと・・・。寝てないだけでもストレスが溜まってくる自分が居たんで、眠れなかった時期は凄い悪循環でした。」

 

 結局、ハーブ治療でC くんの不眠症は治ったが、やはり栄養バランスの良い食事が健康維持には欠かせないことを、特に育ち盛りの高校生を預かるホストファミリーは、十分留意すべきであろう。

 

 

4) 休日/病気の時

 

 休日の過ごし方を聞いてみると、ホストファミリーと一緒に過ごすという回答は非常に少なく、殆どが別々に過ごしていることがわかった。これについては、ホストファミリーの性格的要素以上に、今回の調査の対象である高校生という年齢的要素によって、休日は家族より友人と過ごす傾向が強く見られるのではないかと思われる。

 

 また、病気の時には、病気の度合いにもよるが、よく面倒みてくれるホストファミリーもあれば、「大丈夫?」と声を掛ける程度であまり助けてくれないところもあるようだ。一般に体調を崩すと気持ちまで弱くなったりするものだが、異国での病気は特に心細いものである。あまり気に掛けてくれないホームステイ先では、日本から持ってきた薬で対処したり、自力でクリニックへ行ったり、近所の友達が看病してくれた、などというエピソードが語られた。

 

 以上、ホストファミリーについて面接調査の結果をまとめてみた。家族の一員のようにホストファミリーから大切にされているケースでは、勉強を見てもらったり、毎日の出来事を話し合ったり、留学生にとってホストファミリーは精神的にも大きな支えになっている。しかし、残念ながら同じような料金を払っているにもかかわらず、自分専用の部屋がない、食事がまともに出ない、ホストファミリーと話す機会が殆ど無い、というようなケースが数多くあるのも事実である。こういった問題に対しては、学校や留学会社・ホームステイエージェントなどのホストファミリーを斡旋する立場の関係者による努力が必要であろう。例えば、注意点を含めたルールをより明確にし、ホストファミリーと留学生の双方を対象にガイドラインを作成するなど、改善が望まれる。また、ホームステイ先の手配においては、受入れ側と学生の性格的な要素を考慮することが不可欠であり、学校やエージェントなどの関係者へ向けて、ホープコネクションとしてどのような働きかけができるかを今後は考えて行きたい。次回は日本の家族やカルチャーギャップについて報告する予定。

__留学生調査 その4

  ホープコネクションが約2年半かかって日本人高校生を対象に行った留学生調査について、前号ニュースレターに引き続き今回は、日本の家族、ホームシック、カルチャーギャップを中心にまとめてみたい。

 

1)               日本の家族

 日本の家族とは、プリペイドのコーリングカードやEメール、携帯電話の普及によって、必要に応じて頻繁に連絡を取っている。これらの通信手段のうち電話で話すケースが大半を占め、頻度は週、1、2回と答えた者が多かった。また話す相手は母親が多く、母親の方からかけてくるようである。中には親に心配かけさせないために、2週間に1回程度自分の方からかけるという学生もいた。父親とメールのやり取りを時々すると答えた者も少数いた。学生の方からかける場合、送金依頼や、送って欲しいものがあるときといった用事があって連絡を取るケースが多い。

 留学中に経験したトラブルや悩みについては「相談」というより「普通に何でも話す」という様子が伺える返答が多くあり、相談事は内容によっては、むしろ家族ではなく、友人に話すと答えた学生が多い。これは青年期初期の典型的特徴であろう。

 電話やメールによる通信手段は、物理的「距離」のためにかえって家族との関係が新たに再構築され、それが好転した例も見られた。以下に紹介するFさんは、日本にいた当時父親とはほとんど会話がなかったのに、留学してから父親との会話が復活した。

 

『お父さんには、前日本にいた時は全然喋んなかったけど、こっち来て今年になってから、なんか話すようになって、いろいろ話して。お母さんは前から時々。なんでお父さんと話すようになったかは自分でもちょっとわかんないけど、「なんか意外にちゃんと話せばわかるじゃないか、この親父」みたいな(笑)。』

 

 中にはこちらで経験したことを何でも母親に報告・相談することによって、親子できちんと話す機会を持つことができ、それがお互いの理解を深めて親子の絆が強くなったと報告していた学生もいたし、母親の愚痴を聞いてあげるといった立場の逆点が見られるケースもあり、大人への行程が感じられる。

 

2)               ホームシック

 ホームシックの経験について尋ねたところ、全くなしという返答も少数あり、学校が楽しいから感じなかったと答えた学生もいた。しかし、多くはこちらに来たばかりのころ、あるいは、一時帰国してオーストラリアに戻ったばかりのころに家族や友人、また日本食、日本の漫画などが恋しくなると答えている。そうした思いを、Gさんは次のように語っている。

 

『別に家って訳じゃなく、日本に帰りたい。もう、しょっちゅうですね。些細なことでもう、「あ~、日本食食べたい。あ~、日本」とか思うし、日本の曲聴いて、「あ~、日本」。日本の漫画見て「あ~、日本」とか。もう、しょっちゅう、しょっちゅう。』

 

 ホームシックの対処法については、我慢する、諦める、毎日の生活をきちんとする、という回答が得られた。実際に、Iさんは、

『電話して話すと余計帰りたくなるから、とりあえず毎日ちゃんと学校行って、そしたらいつの間にか、真面目になってた(笑)。多分、自分がちゃんとやることやってると、充実感が出てきて、別に帰りたくないかなぁっていう気に。』

と話しており、他の学生も学校の課題に追われるようになるとホームシックは遠のいてゆく、と似たような経験を語っている。馴れない環境の中でホームシックは一時的に多くが経験するものであろうが、学校生活をこなしてゆくことで緩和されてくることがわかる。

 

3)               カルチャーギャップ

 カルチャーギャップについては、来豪当初何に一番戸惑ったかをたずねてみたところ、電車が定刻どおりに来ない、電車のドアが手動、バス停のアナウンスなし、ショッピングセンターの閉店時刻が早い、食器を洗ってリンスをしない、何でもIDを見せる、タバコの自動販売機がない、マックで「チーズバーガーセット」と頼んだらコーラだけが来た、日本では「セット」と言うがこちらでは「ミール」という、、、、、などの日常的なことから、医療システムで戸惑ったケースなどが語られた。Eさんは自分が病気になったときの体験を紹介してくれた。

 

『去年の11月も病気になっちゃって。すごい高い熱が出て。39度ぐらいの熱が1週間ぐらい続いて。で、四肢に斑点ができて、最初チキンポックスかなと思って。で、病院に行ったけど、わかんない。オーストラリアって病院に行かなくてメディカルセンターに行くじゃないですか。そういうところに行って、救急で行ったのに1時間以上待たされて。寒いのにベッドもくれなくて。日本だったらベッドくれるじゃないですか。1時間以上待たされて、やったのは血液検査だけで、シロップ飲まされてそれで終わり。仕方ないから他の所に行ったら取りあえず市

販のパナドール、それひと箱ぐらい飲まされてそれでやっと治ったの。こっちの病院のシステムってあまりよくないなあ。わたしが足を痛めたときも取りあえずフィジオに行けというんですよ。日本に帰ってレントゲンとって、全然違っていて。』

 またシャワーの水が余り使えないといった生活習慣上の違いや、魚類の少ない食生活を指摘した学生もいた。オーストラリアに来る前に抱いていたイメージと、実際に生活して知った現実とのギャップについては、様々な感想が語られた。たとえば、Gさんは、

 

『日本人は外人を美化しすぎてるなと思いましたね。日本人は「外人は皆優しくて、皆に平等で」とかって、思ってません?私の周りってか、私がそうなのかな?「外人は何でも、ALL OK !」みたいな感じがあったんですけど、来たらそうでもなかったです。ホントに、ある意味変な意味で日本より結構差別、っていうか、嫌な奴は嫌な奴なんだなー、っていうか。良い人は良い人で、嫌な奴は嫌な奴で、ホントに差が激しいっていうか。だから、美化し過ぎてたな、と。そんなに良い所じゃない、外国は。』

と、リアリスティックな目で観察している。

 

 さらに、他の国から留学生として来ている学生や、移民の学生と交流することで、異なった世界観に接し戸惑った例もある。以下のC君の体験は日本人が『マルチカルチャリズム』を実感する実例であろう。

 

『前に9月11日にアメリカの世界貿易センターがハイジャックで襲われた事件がありましたよね、その時に、友達が凄いアメリカのことを嫌ってるってことを初めて気付いたんですよ。その事件を見て、喜んでる友達が何人かいたんですよ、中国の人とか。それまで、僕は日本で何にも知らないで、日本は皆アメリカ大好き大好きって感じだったんで、僕も嫌いではなかったんですけど。いろいろ中国の人とか、仲良かったアフリカの人とかは、アメリカに酷いことされたってことで、見方が違う、特にメルボルンはいろいろ人種が集まってる街なんで、そういうとこで僕はすっごいビックリして、戸惑いましたね。』

 

 このように、日本で存在する固定観念など、留学前は全く疑問を感じずに当たり前と思っていたこと、信じて疑わなかったことが、一歩日本を出ると常識でなくなることに対する驚きを、日常の些細なことから、また学生同士の交流の中から経験していることがわかる。次回(最終回)は、オーストラリアに来て自分がどう変ったか、将来留学を考えている人へのアドバイスなどを中心に報告する予定。_

留学生調査 その5 (最終回)

 

今回の報告は、健康面、留学経験を通して自分がどのように変化したか、また将来留学を考えている後輩たちへのアドバイスについての聞き取りからまとめてみた。

 

1)  健康について

 記述式のアンケート調査を行った際、「死にたいと思うことがある」といった深刻な悩みを抱いている回答は皆無であったものの、多くの回答者が「いらいらする」、「疲れやすい」と答えていたので、インタビューではそのあたりを中心に話を聞いてみた。宿題や試験など勉強から来るストレス、いじめや人間関係によるストレス、環境の変化によるストレスが主にその原因となっていることが具体的な例として提示された。

 Eさんの場合、教師に気に入られたり、成績がよかったために級友たちの反感をかい、一時期は学校を変わりたいと真剣に悩んだ体験を語ってくれたが、学校に配属されている留学生のコーディネーター教師が悩みを聞いてくれて切り抜けたようだ。また新学年になって嫌がらせを言った級友たちも異なった科目を取るなど顔を合わせる機会がなくなり、「いらいら」は次第に影を潜めたという。

 ストレス解消にはゲームやカラオケに行くと話した学生もいたが、友人との付き合いがストレス解消どころか、かえってストレスが溜まるとも指摘していた点などは、群れていても気の合う友人を見つけるのは容易ではない「実験段階」という若者の特徴が見て取れる。

 一方、異国で生活するために生じた心理的な葛藤をGさんは、

『日本で当たり前にあったものが、こっちではなかったりするじゃないですか。日本なら、周りに17年間生きてきて確立してきたものがあるじゃないですか、環境だったり、例えば、母と父だったり、自分の部屋だったり、自分の愛着して使ってた重くて持って来れなかった物だったり、やっぱ、一番大切な友達とか、学校の環境とか。そういう自分が17年間セッティングしてきた物が何にもなかったりするんで、「あ~っ(溜息)」とか思ったり。』

 Gさんの思いは異国で暮らすものの共通の宿命とも思われるが、アイデンティティーの問題を考える上でこうした「喪失感」は大きなテーマになるのではないだろうか。

 文化の異なる全く未知の環境で学校生活、教師、級友、ホストなどとの新しい人間関係に溶け込もうとするときに、強いストレスを感じるのは当然のことと思われる。1人で格闘しながらそのストレスをどのように解消してゆくか - 自分なりのストレス解消法を持っていることも心の安定を取り戻すために重要であるが、そのために周囲がどういった手助けが出来るかを同時に考える必要がある。

 

2)オーストラリアに来てどう変わったか

 留学当初と現在の自分とを比較してもらったところ、大人になった、成長した、家族のありがたさ、日本の友だちのよさがわかった、思いやりを学んだというような肯定的な答えが目立った。ことにホストファミリーとの生活体験を通して、日本の家族関係との違いなども観察している点などは興味深い。たとえば、Bさんは、

『変わった、と思います。甘えてたから、一人っ子だったし。親がそばに居てると、甘えてたから、言いたいこともバーンって言えたし。こっちに来てホームステイして、言いたいことも言えないこともあったし、やっぱり我慢しなきゃいけないことも学んだし。あと、凄い愛情を学んだっていうか。家族の愛っていうか。離れてみてお母さんの存在が大きくなって。で、家族に対しても、ホストファミリーがホントに愛情深いっていうか、子どもに対してとか、旦那さんに対してとか、凄い愛情が深いなーと思って。日本にいた時全然そんなこと思わなくって、母は居るのが当たり前、で、お父さんっていうか、あの人は一緒に居ても遅く帰ってくるのが当たり前。あんまりそういう愛情っていうのが深いことを知らなくて。こっち来て人に対しての思いやりも学んだかなって。家族とかの有り難味がホントに分かったから、凄いよかった。ホントに我が儘だったから。』

 留学生活によって成長していく若者の姿が見える一方で、留学前に抱いていた夢や希望が、現実を知り、体験したことで冷めていく過程を語った学生もいた。余りに気軽に来てしまった、果たしてこれでいいのか、もっと来る前に考えるべきだったと振り返っている。しかしそれが必ずしも現在の自分を否定的に見ているのではなく、むしろそのように捉えるようになった大人へのプロセスとして観察できるのではないだろうか。

 他に、「自己主張が出来るようになった」、「しっかりしたと思うし、周囲からも言われる」などの回答からは、一人一人が自分の変化に気づき、それを評価できるような成長を遂げている様子が伺える。すでに述べたように彼らの成長を助けているホストファミリーや日本の家族の役割も大きい。留学で得られるこうした内面的な変化についても知られるべきであろう。

 

3) 留学を希望している人へのアドバイス

 これから留学しようと思っている後輩たちへのアドバイスを聞いたところ、やはり、こちらで最も苦労する言葉の問題が指摘され、英語の勉強はある程度前もってしておいた方がよいという声が挙がり、その一方で、英語はあまり心配せず度胸と積極性をもって少しずつ上達を目指して頑張ればいい、勉強ばかりでなくオーストラリアだからこそ経験できるようなスポーツ、たとえばスイミング、カヌー、サーフィンといった自然の中で楽しめるスポーツなど、やれることは何でもチャレンジして遊びと勉強のバランスを大切にしてほしいというアドバイスもあった。実際、Hくんは自らの経験を振り返って、

『僕は英語力0からのスタートだったけどホストファミリーが話し好きでリスニングから入って3ヶ月たったらだんだんわかってきて、それから身体全部使ってゼスチャーして自分の伝えたいことを伝えて、それから徐々に話せるようになりました。やっぱりスポーツとかクラブに入ると友達も出来るし、英語の上達も早いですね。それで僕の場合かなり助かってると思います。だからどんどんスポーツとか活動してほしいと思う。』

 また友人関係については、なるべく日本人だけで固まらず皆と仲良くなってゆくことが大切、偏見を持たずいろんな国の人達と話してみると良い、というようなアドバイスが目立った。

 さらに「留学」そのものに対して、留学した人がすべて満足しているわけではないので、夢を見過ぎない方いい、と現実的なアドバイスする者もいた。確かに出発前に日本で手に入る留学情報は、大抵がサクセス・ストーリーの羅列である場合が多い。しかし、今まで5回にわたって報告してきたように実際の留学は想像以上に大変なことが多く、具体的な数値は把握できないものの挫折して途中帰国する者、学校で問題を起こして強制帰国になった者もいる。このような場合、単に本人に問題ありと決め付けるのではなく、留学斡旋会社、受け入れ学校、ホストファミリー、ガーディアンなどに十分な援助システムができていたのかを批判的に検証する必要もある。ホープコネクションもこの調査結果を土台に若い人たちへの情報サーヒスにいっそうの力を注いでいきたいと思う。最後に調査に協力していただいた多くの方々に感謝申し上げたい。

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